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第126話 レグレスの覚醒

 ある日、俺ことKは、フランスのとある研究施設を襲撃していた。


「これか? 博士が言っていた目的の物は……」


 研究所は警備が厳重であったが、シックスの入った端末を使い、ロックを色々解除し、研究所にあったカプセルと各種デジタル資料を引っこ抜いて来た。


 警備のヒーロー達に追われたが、ワープ可能区域まで逃げると、複数箇所ワープして撹乱した後に基地に帰還した。


「博士、頼まれた物を奪ってきたが」


「おお! 助かるよ! いやぁフランスが小型の核融合炉を開発したと言うのは聞いていたんだが、10立方センチメートルまで小型化が出来ていたとは……実物はやっぱり小さいねぇ」


「これ何に使うんです?」


「そうだねぇ……莫大な電力を発電したり、空気から肥料や火薬を大量に作り出したり、海水から鉱石を精製したり……まぁ色々使えるよ。ちなみに今Kが持っているこの箱型の小型核融合炉でも樺太基地の全使用電力の300%を供給することが出来るよ」


「そいつは凄いが……それだけか?」


「それだけとはなんだね! 技術的な革命なんだよ! ……と、実はこれを使った兵器の開発を行おうと思ってねぇ」


「兵器?」


「あぁ、それにこれはレグレスへの強化にも繋がるんだよ」









 小型核融合炉を盗んでから1週間、博士は複製に成功したと喜びながら報告され、レグレスと一緒に来るように言われた。


 レグレスもなんで呼ばれたか見当が付いてなかったが、博士が


「レグレスの覚醒にこれを使う!」


 と小型核融合炉を手に持ち、博士はそう叫んだ。


 何のこっちゃと俺もレグレスも思っていたが、博士はレグレスをベッドに寝かせると麻酔を投薬してから、レグレスの胸部装甲をレーザーカッターで四角く開けると、肉体部分をメスで切断して心臓と思われる部分に先ほどの小型核融合炉をぶち込んだ。


「な、なにやってるんだ!」


 俺は叫ぶが、ロボット達に押さえつけられる。


 心臓を抜いたら流石のレグレスも再生が厳しい……そう思っているとレグレスに薬品を飲ませた。


 あれは……覚醒薬!? 


 俺はレグレスの手術の様子が映し出されていたモニターを見ると、宙ぶらりんになっていた大動脈や血管達が次々に核融合炉に接続されて、核融合炉が青く光り始める。


 すると肉が盛り上がり、切られた箇所が急速に復元を始め、あっという間に切断された胸部装甲も元通りとなった。


 すると義足がついていた部分から原子力のマークが付いたタンクが三脚の様に現れ、スカート部分が更に延長される。


 それだけにとどまらず、頭の上と背中に機械的な輪っかが出現する。


 ギュルギュルと回転を始めると、麻酔を投薬されたばっかりなのに、レグレスは覚醒して、ベッドから起き上がった。


「レグレス大丈夫か?」


「凄まじいエネルギーを感じる……今でのエネルギーの数千倍かもしれない」


 と驚いていたが、自身の摘出した心臓を見つけると、レグレスは一気に丸呑みした。


「ごきゅん……博士、いきなり心臓の摘出は辞めてください! びっくりするじゃない」


「いやぁごめんごめん、ただレグレスを覚醒させるならこのアイテムがどうしても使いたくてねぇ……実際どうだい? 覚醒した気分は」


「……悪くはない……いや、正直言うと滅茶苦茶体は調子が良い。なんか足も生えたし」


 足……と言って良いか分からないが、増設されたタンクには大量の発射口が備わっていた。


「覚醒したらどうなるか……色々実験してみようじゃないか」









 各種検査を終えたレグレスの戦闘能力は凄いことになっていた。


 まず既存の指型優先ビットだったり、肩から射出する無線型ビットの威力が100倍に向上。


 既存の対ビームコーティングが施された装甲をバターを切り裂く様に一瞬で穴だらけにして切断。


 K自身も訓練室でビームが当たると当たった箇所に火傷を負う明確なダメージを受けた。


 しかも無線ビットの数が今まで6基だったのが5倍の30基まで増え、見た目も円錐形のスマートな形に変わっていた。


 更に鎖骨辺りに中型のビーム発射口が2門増設され、腹部と胸部を合わせると4カ所、ゴーグル型ビーム発射口も合わせると5カ所となり、距離を収束させることで極太のビームにすることも可能だった。


 今まで手に格納されていたビームアックスはスカートに格納されるようになり、延長したスカートには隠し腕が2本内蔵されており、合計4本のビームアックスで近接攻撃をすることも可能になっていた。


 スカートの下に足……ではなくエネルギータンクが3本増設された事で、そこから小型ミサイル90発、中型ミサイル18発、大型ミサイルを3発発射出来るようになっており、三脚の様に立つことも、折りたたんで座ることも可能だった。


 そして頭と背中に浮かんでいる機械的な輪っかは強力な電磁パルスを発生させて、バリアを張る事が出来る。


 俺の結構本気の一撃でも腕が当たり前に止まり、バグによる攻撃やイエローの電磁砲をも完璧に守ることに成功した。


 戦闘指数は驚異の480。


 やろうと思えば核融合炉のエネルギーを放出して核爆発することが出来るためこの数値となった。


 3人娘の中で覚醒1番乗りである。


 で、博士曰くこれは実験であると言われた。


「この小型核融合炉を量産して適性があるからレグレスの子供達に仕込んで怪人化させる……レグレスには多少劣るかもしれないが、超強力な怪人が数十人単位で生まれることになるんじゃないかねぇ……そうすればブラックカンパニーの戦力も上向くよ」


「……博士、もしかしてバニーの言う日本征服を真面目に?」


「今の総領はバニーだろ? 馬鹿馬鹿しいとは思うが言われたことはやるのが私だ。もっとも下がだいぶ動いているらしいじゃないか……Kはどうするんだい?」


「俺はどうもしないさ。ただバニーの上に立つ気も無いがな」


「それ私聞いても良い話?」


 レグレスが突っ込みを入れるが、レグレスは聞くべき話題だと俺は思う。


 ブラックカンパニーのパワーバランス的にも。


「まぁレグレスもどう立ち回っても良いが会社を壊すような真似をすれば、俺は容赦しないからな」


「はーい、気をつけまーす」


 こうしてレグレスの覚醒は無事に成功するのであった。


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