第123話 久々の依頼
久しぶりに外部の依頼が舞い込んできた。
アフリカの紛争地域の金鉱山の防衛戦力が欲しいと言う依頼が出されており、報酬が純金5キロと破格であった為にバニーは戦力の投入を決定した。
駆り出されたのは超を筆頭に怪人10名とホワイト等の戦闘員100名である。
「まぁイエローは教育総監だし、レグは事務作業が多いから僕の出番っすね」
超は元T1ことパンターも連れてきていた。
「パンターさん、今回もよろしく頼むっす」
「任せて超、それと今の立場は超が上なんだからさんは要らないでありますよ」
「そうっすね。じゃあパンターよろしくっす!」
「はいであります!」
今回防衛に参加するのはブラックカンパニーと傭兵軍団で、相手も武装勢力であると言われていた。
「相手は現地の悪の組織がバックにいるっぽいっすね……数千規模の兵隊を送り込んでくるっすか」
まずこちら側の武器であるが、戦闘員はレグレスのビーム兵器を参考に1号が開発したビーム小銃を携帯していた。
10回発射できるカートリッジ式で乾電池みたいなタイプであり、それを1人100個携帯していた。
有効射程は1キロで、ビーム防護装甲を持たない旧式の戦車やヘリコプターであればこのビーム小銃だけで撃破できる代物である。
なおこの手の兵器はアメリカ軍は通常兵装であり、先進国も精鋭部隊には配備されている一般的な代物である。
まぁ狙撃銃に比べると有効射程が短い、弾幕を張る効果が薄い、発射した時の光が銃に比べて目立つ、対ビーム装甲には無意味等で実弾銃の方が再び主流になりつつあった。
まぁ今回は後進国であるアフリカの紛争なのでデータを取るためにも1号が用意したというのが背景にある。
なお今回派遣された怪人達にはビームの耐性があったり、効かない者が殆どであり、レグレスも訓練で倒すのにビームアックスを使わないといけないほど防御力にも優れた者ばかりであった。
まぁ一番高いのは制圧力であるが……。
「10人1班で行動するとして、依頼主達の情報によると数日以内に敵が攻めてくる感じっすか」
「坑道で戦うことになったら厄介でありますな」
「参謀のホワイトはどう思うっすか?」
超は他の怪人も集まる場でわざわざ参謀と言う役職を付けてホワイトを立ち会わせ、意見を聞いた。
他の怪人もホワイトがKの娘であり、一部幹部から特別視されているのは知っていたが、超がここまで重用するとは思ってなかった。
超的にはバニーが暴走気味かつ上に立つ資質に疑問があるため、幹部達の間でKを立てようという案も出たが、K自身にそれとなくトップに立つ気はないかとテレキマンが聞いたところ、返答は拒否。
そんなKがバニーの次の総領にするならホワイトが良いんじゃないかと言っていたので、その資質を確かめる為に超は参謀を任せてみたのであった。
「数日後という時間的な猶予がありますし、敵の一部部隊はパンターさんの偵察によって集結地点がわかっています。この際こちらから奇襲を仕掛けて潰してしまいましょう」
「でも依頼は金鉱山の防衛っすよ?」
「敵の攻勢を頓挫させた方が依頼主は喜びますし、一応依頼主に先制攻撃しても良いか聞いたところ是非やってくれと言質取ってます」
ホワイトはボイスレコーダーを取り出し、依頼主との会話を流す。
確かに敵を減らせるのであれば持ち場を離れて攻撃してもこちらは問題ない……それどころか喜ばしいとまで言っていた。
「攻撃は超さんを起点にし、他の人達は超さんが撃ち漏らした敵を攻撃していけば良いかと。超さんなら負けないでしょ?」
「驕るつもりは無いっすが、敵の中にKさんが居なければ圧勝っす」
「決まりですね」
作戦も決まり、一番近い敵の集結地点付近にワープし、奇襲を仕掛けるという至ってシンプルな作戦となった。
正午頃、作戦が決行され、全員でワープし、敵の集結地点のど真ん中に飛ぶ。
移動した瞬間に目に付く兵士達を攻撃していき、超が一瞬で敵を氷柱へと変えていく。
ホワイトや各怪人達は家屋に突入して攻められると思ってなかった敵を次々に殺傷もしくは捕獲していき、超が敵に兵器を使わせないように、戦車だったり、ヘリコプターが止めてある場所を緋色に光り輝く壁を出現させて囲んでしまう。
完全に奇襲が決まり、あっという間に数百人の敵兵を殲滅すると、兵士達が身につけていた衣服を奪い、戦闘員達に着させてまた別の場所を奇襲する。
今度は味方の装備をしていた為に基地近くに飛んでも特にバレる事なく、接近して見張りの兵士達を殺害し、内部に浸透。
超が今度は兵舎や司令部を青い炎で火炙りにし、逃げ惑う敵兵をビーム小銃や捕獲銃で撃っていく。
2箇所で約千数百人の殲滅に成功し、大量の武器を鹵獲することにも成功。
戦闘員達にトラックに武器や弾薬を満載させ、戦車なんかも動かして防衛拠点の金鉱山に持っていき、傭兵達に兵器をプレゼントすると、士気はうなぎ登り。
依頼主からも感謝されて、110名の小部隊と見られていたが、他の傭兵団や依頼主から別格に見られるようになり、発言力を手に入れた事で、残りの集結拠点を先に攻めることを提案し、強い武装が手に入った傭兵団はイケイケになり、勢いそのままに残りの敵拠点を攻め滅ぼしてしまった。
防衛任務であったが防衛が発生せず、逆に敵の本隊を壊滅させたとして大いに依頼主から喜ばれ、傭兵団達にもブラックカンパニーの名前が轟くのであった。
なおこの時出来た伝手で、以後複数の傭兵団に武器や車両を卸す関係になり、ブラックカンパニーの製造部門の売り上げにも貢献するのであった。