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第120話 一方で日本内戦はというと

「G軍凡庸ヒーロー中隊戦線の押し上げに成功」


「C軍も敵戦線に穴を開けることに成功、一方で東北戦線の北海道からの上陸作戦は失敗。第二戦線の構築は出来ていません」


 東京、中央区にある日本ヒーロー協会本部にて各戦線のヒーロー達の情報が集められていた。


「まったく、嫌な世の中になりましたね」


 そう話すのはS級ヒーロー2位のライフルマン……身体の一部を怪人の強固な防御力をも貫通させる射程20キロの弾丸を腕から発射出来る怪人である。


 S級ヒーローの上位10名のうち半数が既に戦死していた為に、基地の切り札兼種牡馬みたいな扱いを受けていた。


「精子の出し過ぎであそこが痛いんですが……司令」


「我慢してくれ。お前達S級ヒーローの強い遺伝子でも強い人造ヒーローが産まれる確立は1%程度……それも多くがA級だ。S級の代わりになる人造ヒーローは半年でも20名しか確保できてない」


「その代わりの物量と新型人造ヒーローの投入ですか……」


 新型人造ヒーロー……それは悪の組織の怪人化薬を投与したヒーロー達であり、勝つ為に悪の組織の技術だろうが導入するなりふり構わないことをヒーローサイドもしていた。


「マーレに取られた海中資源採掘都市が稼働していればここまでの劣勢にはならなかったものを」


 司令が言うマーレはネオジャパンの事であり、海底採掘拠点があればエネルギー資源や海底鉱山によるレアアース等の戦略物資の確保が容易であり、海外に売ることで資金の足しにも出来たのに、ネオジャパンに奪われて、奪還も出来ずに放置するしか無かった。


 海上自衛隊の潜水艦隊でも海底都市の堅牢な外郭壁を魚雷で貫通させることは不可能であり、水深数万から数十万メートルの水圧に耐えられる壁を破壊するにはそれを破壊するための独自の兵器を開発するしか無く、その技術もマーレが大半を握っており、現在の日本では対抗兵器を作ることは国力的に無理であった。


「しかし制海権は握ることは出来ました。なので悪の組織側は連携が出来ずに、ジリ貧になるでしょう」


「まぁそうなるが……内戦に勝った後に残っているのは海外に対しての莫大な債務、内戦の援助の為に主要な特許技術は流出、国土の殆どが瓦礫の山になってしまう……日本が主要国に返り咲くには早くても半世紀はかかるだろう」


「今は良いですが、生み出し続けている人造ヒーローの扱いも考えませんと……恐怖心を薄めたせいで感情事態が希薄になり、言いなりの様なヒーローばかりですから」


「流石にそれは再教育するが……産業に従事させられるレベルまでの教育は5年はかかるだろう」


「暗い時代になりますね」


「全くだ」







 一方でKとのコネを持つ悪徳外務大臣も暗躍を行っていた。


 今、政府は挙国一致内閣となっており与野党問わず一時的に統合され、能力や発言力がある者が戦争指揮を行っていた。


 その為本来野党議員と会うのはリスクがあるが、統合されているため本来他の政党の議員にもアプローチをかけることが簡単に行えた。


 悪徳は悪の組織に加担していた議員をある程度は把握していた為に、与党の主流派から外れた者、野党で使えそうな者に声をかけ、樺太臨時政府の組閣に向けて動いていた。


 非主流派かつ悪の組織に加担した過去を持つ者達は武装警察から目をつけられており、内戦が終われば国民の不満をぶつける裏切り者として吊るされる予定の者まで居た。


 無能の者は気がついてないが、有能かつ悪の組織を手玉に取っていた連中ほどどうにかして亡命しなければと思っていたが、海上を自衛隊が封鎖しており、飛行機を使おうにも危険が伴っていた。


 頼みの綱の悪の組織も内戦に巻き込まれて弱体化し、守りきれるか怪しく、悪徳が話す樺太への脱出計画に多くの者が飛びついた。


「悪徳大臣、ブラックカンパニーは我々を守れるだけの戦力があるのですかな?」


「怪人マッチでS級が複数人居るのは確認しているが、今の日本は物量で攻めてくるぞ」


 他の議員達から質問されるが想定の範囲内である。


「戦力については申し分ない。今の日本政府でも攻撃を戸惑わせるだけの戦力がブラックカンパニーは保有しているし、攻撃をさせない為に、ブラックカンパニーが生産している食料の輸出だ。安全な北海道経由で相当量の食料を送れば日本政府も黙る。そもそもあの土地は元々ロシアと日本がごたついていた土地だ。戦後も友好国で居るなら、日本としては助かるだろう」


 国外脱出した裏切り者に映るか、国家再建の為に食料を確保するために動いたでは扱い方も変わってくる。


 ここに居る者は戦犯として絞首刑には誰もなりたくなかったのである。


「時期が来たらワープ装着を手に入れる手筈になっているから、君達や君達の親族にも渡すがよい。国家建国後の方が忙しいだろうな」


「悪徳大臣が言うなら信じますぞ」


 こうして日本政府内でもまずまず動きが活発になっていくのであった。


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