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第119話 ミズチ-ホワイトのライン

「あの〜」


「ん? どうかしましたか?」


 ある日私が食事をしていると、銀髪の美しい戦闘員から声を掛けられた。


「ミズチさんでよろしいでしょうか」


「はい、ミズチですが」


「私、ホワイトって言います。外部で広い視野を持つミズチさんに色々聞きたいことがありまして……」


「ふむ……伺いましょう」


 夕食中に色々話すのもアレなので、私はホワイトを自室に招待した。


「何か飲みます?」


「あ、お気遣い無く……」


「ふむ」


 私はとりあえずお茶を出して話を聞いてみることにした。


「で、聞きたい話って何ですか?」


「約1ヶ月ブラックカンパニーで働いてみてどうです? 他所との違いを聞きたくて」


「ふむ……まず福利厚生面ではブラックカンパニーが圧倒的ですね。私が居た会社も整っていた方でしたが、ブラックカンパニーの方が社員を大切にしているのが伝わってきます」


「それに怪人になると特権も多い。後から知りましたが、ブラックカンパニー製の怪人化薬は他社と比べても性能が高い様で、私の様な戦闘経験の浅い人物でもA級、S級相当の強さに成れるからね」


 ちなみに私がブラックカンパニーに測られた戦闘指数は210……成長すればレグレスを追い抜けると言われていたが、私は非戦闘員や指揮官、幹部として後方からふんぞり返っていた方が性に合っている。


 なのでトレーニングも体が鈍らない程度にしていた。


 他所よりも怪人化薬だけでなく色々な面で優れているが、中間管理職であったり幹部人材の枯渇というのが入ってきたばかりの私でもよくわかった。


「長期的な目標を立てられる人材が居ないのがブラックカンパニーの欠点ね。下っ端の貴方でも分かるでしょ?」


「はい……樺太制圧までの作戦計画は緻密に練られていたのですが、その人材の活用方法や今後のブラックカンパニーの成長戦略については指示が二転三転したりと……」


「あぁ、だから教育に私達を充てているのね……それしか活用が現状できないから」


「ミズチさん達の高い能力は戦闘員や幹部にまだなれていない怪人達でも噂になっているので……幹部の人達も耳には入っているので、幹部補佐などの要職への昇進が起こるとは思いますが……」


「……ホワイトだっけ? 貴方普通の戦闘員では無いわね。もしかして上まで意見を通せる立場?」


「一応……Kお父様の庶子に当たるので」


「ふーん……総領になるつもりはあるの?」


「無いと言えば嘘になります。ブラックカンパニーの闇の部分も見てきて居ますし、バニーさんの子供に総領としての能力が足りていなかったら簒奪する気はありますが……」


「あまり言いふらさないほうが良いわよ。そういう事は」


「外部から来て上へのアクセスが無いから堂々と私は言っているんですが?」


「……なるほどね。で、なんで私に声を掛けたの?」


 私はホワイトという少女に確かにカリスマがあると短い会話の中でわかった。


 最初は下手に彼女は出ていたが、今では同等の立場で話を進めている。


 彼女の中でも私をちゃんとした相手であると認識したのだろう。


「引き抜かれてきた人材を統括する立場であったミズチさんが一番能力が高い事と野心が高いことがわかったからです。この人と手を組めば、私も粛清されることは無くなるだろうなぁって思ったのもありますね」


 庶子と彼女が言ったので、バニー総領の判断次第では粛清もあり得る立場なのか……そうなると確かに粛清されない基盤が欲しいか。


「伝手やコネとかはあるの?」


「私、製造過程が似ている元人造ヒーローの人達……モノワンさんやジオツーさんとかはミズチさんも知っていると思いますが、彼ら彼女らの妹分が私です。まぁ戦闘員ですが彼らと互角に戦う戦闘能力もありますし、樺太制圧戦で根幹となる作戦の実行役を担いました」


「ふーん」


 言っていることは事実だろう。


 私は彼女を押し上げれば次世代において幹部の地位に就ける可能性を考える。


 今のままでも恐らく幹部には成れるが、そこから先……戦略に意見出来る立場となるにはホワイトを使って通した方が良い気がする。


「私が力を付ければブラックカンパニーを乗っ取るかもしれないわよ?」


「あ、それはできませんよ。博士とKお父様が存命の限り、彼と彼女がブラックカンパニーの心臓と脳なので、ブラックカンパニーは彼らあってのブラックカンパニーなので……私がしようとしているのは私を粛清する可能性のあるバニー総領の退任が目的ですし」


「ふーん……話はわかったわ。今は乗れないけど、将来的な強力は約束するわ。あとブラックカンパニーの今後の戦略についてホワイトなりに考えが出来たら教えてちょうだい。採点してあげる」


「わかりました。ミズチさんが私の参謀になっていただけるように頑張ります」










「ケケ、ホワイトがバニー総領の地位の簒奪を狙うようになったっぽいですけど、Kさん的にはどう動くのです」


 俺は事務所で働いているとシックスに声を掛けられた。


 シックスはブラックカンパニー内各所の会話や監視カメラの映像を盗聴、盗視しており、ブラックカンパニー内で不穏な動きがあれば報告するようにと伝えていた。


「何もしないさ。これがブラックカンパニー出身ではない吸収した企業の怪人達が企てているなら対処しなければならないが、ホワイトなら問題ない」


「ケケ、そうですかね? まぁ僕としても暴走気味のバニーさんより妹分でカリスマのある落ち着いたホワイトの方が安心出来ますが」


「まぁお手並み拝見といこう。ホワイトよカリスマがどこまで機能するか……簒奪と言ってもバニーの命を奪うまでにはいかないだろ。上手くいけばバニーには隠居してもらい、妄言と言わざる得ない戦略目標の修正が出来るだろうよ」


「ケケ、僕としてもそっちの方がありがたいですが……」


「まぁ様子を見よう」



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