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第11話 給料とランク

 ブラックカンパニーの給料は毎月20締めの25日支払いである。


 そしてお金は現金で支払われることになっている。


「はい、今日のトレーニング終了」


「うへ~」


「つ、疲れたっす」


「キツイ……」


 3人共トレーニングを終えてへばっていたが、俺が頑張って立てと言う。


「お前ら立て……今日は待ちに待った給料日だぞ」


「やった!」


「どれぐらい貰えるのかな〜!」


「楽しみっす!」


 俺は楽しみにしている3人に任務に出てないからそこまで貰えないぞと釘を刺しておいた。


 あと今月は働いた日数が20日間なのでその分減らされているとも言う。


「夢を壊すなおじさん!」


「そうっすよ!」


「夢を見るよりは良いだろ、現実見てやったほうが!」


 そんな会話をしながら事務所に行くと、他の戦闘員や怪人の方が集まっていた。


「呼ばれたら給料取りに来い、ウルフマン」


 給料の入った袋が皆渡されていくが、3人娘達がなんか分厚くないかとざわついている。


「なんか皆給料袋分厚くない?」


「なんか封筒に入ってる感じなのかと思ったっすが……怪人の皆さん帯じゃないっすか?」


 俺が3人に後でうちの会社の給料形態を話すからあまり騒ぐなと言っておく。


「戦闘員A、F、M」


 バニーさんに呼ばれて3人が給料を受け取りに行く。


 すると3人は茶封筒で渡された。


「最後にKさん」


 俺が前に行くと、俺は紙袋で渡された。


 袋の中には帯付(100万)が何個も入っていた。


「うーっすどうも」


「えー、今月の成績です」


 表が掲示されると俺のグラフが他の人より2倍近く突き抜けていた。


「相変わらずKさん成績1位か」


「今月は勝てると思ったんだけどなぁ」


「指定依頼あるとやっぱり強いなぁ」


 3人娘は口をパクパクさせていた。


「まぁこんなもんだろうな」


 ウルフマンが俺に


「Kさんこの前の指定依頼結局幾ら貰ったんですか?」


「依頼金2000万、助けた他の人から1人500万の謝礼貰ったから合計6000万くらいか?」


「相変わらず稼ぎますね」


「教育してなかったらもっと稼ぐわ。あと教育係になる前の10日間である程度稼いでたのも大きいな」


「まぁじゃないとあんな低いグラフにはなりませんからね」


「ちょっとおじさん! Kおじさん!」


「なんだM(前沼)」


「なんでそんなに給料もらってるのよ!」


「お前らこの後時間あるよな……教えるから俺の部屋に来い」


「あ、俺も行って良いですか?」


「おぅ、ウルフも来いよ」


 俺は3人娘とウルフを連れて、俺の部屋に案内するのだった。









 僕達が住む社宅の最上階がKさんの部屋らしい。


「お邪魔しま……ひろ!」


「最上階1フロア丸々Kさんの部屋っすか!」


「そういうこった。椅子に座って待ってろ。何か飲みたいのあるか?」


「酒飲みたい〜」


「酒は駄目だ。M、お前ベロベロに酔っぱらったの忘れたのか?」


「あれ? そうだっけ? あぁ、Aの部屋で寝てた時そう言えばあったか……」


「まぁこれから色々説明するからとりあえず酒は無し……オレンジ、コーラ、麦茶、コーヒーがあるが」


「じゃあ俺アイスコーヒーで。ミルクと砂糖たっぷりで!」


「ウルフはいつもアイスコーヒーだな。怪人になって味覚は変わらなかったのか?」


「そんなに変わらなかったですね。あ、生肉が美味く感じるようになりましたが」


「食中毒気をつけろよ。ガキ達はどうする」


「じゃあ〜コーラ」


「僕もコーラで」


「オレンジジュース」


「あいよー」


 Kさんが飲み物を準備している間に僕は部屋の中をキョロキョロと見渡す。


 一番最初の印象は綺麗な部屋だ。


 掃除が行き届いているし、黒をベースとしたシックな部屋という言葉が似合う、高級感のある部屋。


 アンティークな品が置かれているわけでは無く、機能美が重点が置かれているのか、見える範囲ではオール電化といった感じがする。


 チラリと奥の部屋が見えたが、トレーニング器具が見えたので家でもトレーニングしているのが伺える。


 飲み物が出てきて給料についての話が始まる。


「まず金は出さなくて良いから給料明細だけ出してくれ」


 そう言われて、お金とは別に給料明細と呼ばれる紙を取り出す。


「このペラペラの紙?」


「そこに給料の内訳とかが書いてある。多分基本給の25万って書かれてないか?」


「本当だ! 書かれてるっす」


 給料明細を見た僕はそう発言する。


 僕の給料明細には基本給25万から積立金3万と組合費2万が引かれていた。


「積立金は治療費の積み立てだ。戦闘で怪我したり、欠損した時の再生するのに結構な額がかかる。給料が高くなればなるほど積立金は高くなる」


「一方で組合費は悪の組織組合の会員ですよという組合に所属しているなら払わなければならない費用だ。これを支払ってないと組合員と見なされずに悪の組織同士の抗争の時に組合費を払ってる組織に有利な和解案が提出されたり、そのまま解体にもってかれたりする保険みたいな感じだ」


 引かれている金額はわかった。


 でもそれだとKさんがあんな大金をもらっているのに納得がいかない。


「じゃあおじさんはなんで給料がそんな大金なのよ!」


「悪の組織だぞ。そこから先は成果給で給料が決まってくる」


 Kさん曰く、仕事の難易度とかにもよるが、普通の戦闘員の給料が50万から100万くらい。


 怪人の給料が100万から1000万くらいで、今回Kさんの給料は600万だった。


 Kさんが本気で稼いだら余裕で1000万は超えるとウルフさんに補足された。


「ブラックカンパニーはこれでも支払ってる方だ。もっと弱小だと稼ぎ頭が100万とかあるし、大手は逆に1ヶ月で1億近く稼いでいるのも居る。金はある所にはあるからな」


 Kさんは冷たい麦茶を飲んでいるみたいで、ジョッキに麦茶と氷を入れてグビグビ飲んでいた。


「普通にやっていれば戦闘員で75万くらいは稼げるようになるし、俺も怪人になる前の殆どの給料が75万前後だったから」


「ウルフさんでそんな感じなんすね」


 Kさんはアリスが知らないヒーローと怪人のランクについての説明も始める。


「怪人には指定依頼ってのがある。これは普通の会社の依頼より個人に入るマージンがデカくなってる。そんな指定依頼を受けるのに有利になったり、おおよそのヒーローの戦闘力の目安になるのがランクだ」


 前沼ちゃんが学校ではと行ってアリスに説明する。


「CからSまであって、Cが拳銃、Bが小銃や機関銃、Aが戦車、Sが戦略兵器(核兵器)って扱いって先生から習ったわ」


「ヒーローも怪人もその認識で概ね間違ってない。ただ怪人がだいたいは自称に対して、ヒーローはランキングがちゃんとあるから怪人よりも実力が分かりやすい様になっている」


「ちなみにヒーローってどれくらいお給料とかもらってるの?」


 アリスがKさんに質問する。


「人気や実力がある人は億や数千万円、下の方は薄給で使われているのも居る……まぁ怪人のほうが給料は高い傾向があるな」


「ねぇおじさん。なんでそんな悪の組織って金持ってるの?」


「あー、活動がグローバルってのと表の顔があったりするからってのもある。前に話が出たラブプラネットみたいに表向き芸能事務所だったりすると表の金も裏社会に流れ込むし、日本に留まらず世界単位で活動するし、税金が発生してないからそれだけ自由に金が動く。後は金で何でも解決できるから表よりも金の価値が高いってのもある」


「ふーん、あれ? 悪の組織ってどう稼いでるの?」


「色々あるぞ、例えば表じゃ禁止されている培養肉の販売をしたり、紛争地帯への兵器ビジネス、資源地帯を制圧して資源採掘して市場に売る。表じゃ売れない薬品を使った治療で治療費を稼ぐ……まぁ色々だ」


「なんか裏社会の規模がでかすぎないっすか?」


「とにかくデカイ。だからヒーローも居るんだが手が回ってないのが現状だな」


「ふーん」


 給料とランクについての話だった。





---

 用語解説


 ·オママの娼館


 オママが経営する娼館。


 廃れた繁華街の1画に存在し、一見シャッター街であるが、色々なビルに地下で繋がっていて普通に広い。


 人身売買から水商売、マッサージなど色々な商売をしている。


 オママは怪人ではないが、超人薬を飲み続けた結果、B級ヒーローくらいの強さがある。


 稼ぎ頭は赤ん坊の販売。


 赤ん坊を育てて販売する組織があり、そこと提携している。

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