第105話 基地の掌握と核兵器の起爆
「ホワイトと超、ノナの3名が天候操作を開始したわ。これから2時間後に作戦行動を開始する」
ブラックカンパニー総領のバニーが全体にそう指示する。
1号が開発した移動指揮車両ビッグコマンダーにて全体通信を入れる。
指揮所にはバニーや博士、ナンバーズにシックスが滞在している。
俺も居るが、前線指揮をしなければならない。
「シックス、全体の命令伝達頼むぞ」
「ケケ、了解」
本作戦はブラックカンパニー総勢300名で行う一大攻勢である。
俺が100名率いて航空基地に、残りの200名はテレキを大将に陸軍基地を襲撃。
基地占領後は住宅地に浸透し、制圧。
そして最後に海軍の基地を襲撃し、作戦は完了となる。
第一段階にトリサードが作戦開始と同時に電磁パルス爆弾をそれぞれの基地周辺に投下。
電子機器を故障させる。
この故障させている間にいかに軍事施設を占拠出来るかが作戦の成否を左右する。
『こちらトリサード、爆弾の格納が完了しました。今から飛行を開始します』
トリサードからの連絡があり、いよいよ作戦が始まる。
「よし、お前ら! マクス装着。一気に攻め落とすぞ!」
「「「おぉ!」」」
電磁パルス爆弾の起爆を確認し、まず先行して基地の警備隊を占拠していたピンクモンスターことピクモンが門を開く。
「ご苦労さまです」
衛兵が敬礼しているが、目が白目を剥いて、耳から液体が漏れ出ている。
ピクモンが相手の身体を乗っ取って操作している証拠である。
「ピクモン、基地司令部を占領する。案内を頼む」
「わかかかか」
ズルリとピクモンの分身体の一部が身体からこぼれ落ちる。
「脳の知識は抜き取ったわ。他の衛兵も戦闘不能にしているから戦闘員に回収させておくわね」
「あぁ、基地司令部は分かるな」
「勿論」
俺はピクモンの案内で基地司令部に怪人達を引き連れて行く。
「ここよ」
「よし、一気に攻め落とせ!」
「「「おぉ!」」」
俺が連れてきたメンバーの殆どがブラックカンパニーに吸収された会社出身の怪人達であり、元人造ヒーローとかレグレス、イエロー、ウルフ等は陸軍基地の方に向かわせた。
正直ブラックカンパニーのメンバーならこの程度の作戦は失敗しないだろうが、航空基地側は万が一があるので俺が指揮していた。
俺が司令部に乗り込むと、いかにも偉そうな軍人がこちらを睨んでいる。
「何者だ!」
「お前強いな」
俺は一瞬で相手の背後に回り、絞め落とすと捕獲銃で捕獲する。
「い、イワノフ少将!?」
基地司令がいきなり捕まったことに部下達は大パニックになり、怪人達や戦闘員達が司令部を直ぐに制圧すると、ピクモンに司令官を数人乗っ取らせ、彼らに部下に営内待機を命令するように伝える。
「よし、あとは基地を手分けして人員を捕獲していく! 武器庫、航空機格納庫を占領するぞ……スジ、クリネ! 格納庫を頼む」
「「了解」ゼヨ」
「時間が勝負だ! 一気にいくぞ!」
すると通信が入り
『こちら陸軍基地侵攻部隊。司令部急襲に成功。一部隊員が抵抗しているものの被害軽微!』
「よし、聞いての通りもう一方はうまくいっている! こっちも一気に片付けるぞ!」
「「「おう!」」」
司令部を急襲したことで指揮系統が完全に麻痺した航空基地は半日ほどで大半の軍人達の捕獲に成功した。
第一段階は成功である。
「うひょー1000人は捕獲できたんじゃないですか!」
「軍人を戦闘員に改造出来れば戦力も大幅に増加ゼヨ!」
捕まえた軍人達が入ったカプセルを回収しながら次の作戦に移行する。
「よし、次は街に侵攻する。ワープするぞ」
「「「了解!」」」
基地の司令部に数人の戦闘員を残し、街に向かって進撃を開始した。
コンコンとドアをノックする。
『はーい』
吹雪の中の来客を不思議に思わないのか女性の声がすると、ドアが開かれた。
恰幅の良い女性が出てくると、俺は捕獲銃で女性を捕獲する。
ドアをガッと開けて内部に侵入すると、暖炉の前で先ほどの女性の子供達が遊んでいたのか、こちらを凝視している。
直ぐに捕獲銃で子供達を捕獲すると、部屋の奥から現れた旦那と思われる人物も捕獲する。
先ほどまで家族団らんだった場は一気に静まりかえった。
そんな光景が街中で行われていた。
『学校の襲撃完了しましたが、子供は居ませんね』
『今日、ロシアだと祝日だったっぽいですよ』
「悪いが1軒1軒しらみ潰しに襲撃かけてくれ。ドアは破壊して構わない」
『『『了解』』』
この雪のおかげで人々は外にあまり外出しておらず、役所や発電施設、テレビ局、水道局、ラジオ局の占拠も終わり、ラジオ局では電磁パルスの影響で故障していると思われるが、機能しているラジオがあるかもしれないのでピクモンが職員の身体を乗っ取り、機材を修理してラジオで外出を控えるように放送を繰り返していた。
『陸軍基地の制圧完了しました。こちらも市街地の占拠に取りかかります』
「イエローか、テレキはどうした?」
『テレキさんは本部に作戦経過を報告中なのでKさんには私が』
「了解だ。気を抜くなよ」
『はい!』
『航空基地のある街の60%を占拠完了』
『陸軍基地のある街の35%占拠完了』
移動指揮車両に次々に情報が入り、パネルに映し出されたパネルを白から黄色にどんどん塗りつぶしていく。
「ふぅ……」
私は息を吐いた。
「予想以上に順調だねぇ」
博士がそう言う。
「電磁パルス爆弾で基地機能を早期にシャットダウンしたのが大きかったわ。こっちは通信を使って連絡取り放題だから兵力の集中ができたし」
『連絡、海軍基地の基地機能が回復したっぽいよ』
トリサードから連絡があり、指揮所に緊張が走る。
「シックス回線ジャック」
「了解……『司令部に連絡、司令部に連絡、樺太の航空基地、陸軍基地と連絡途絶。樺太にて何者かによる攻撃を受けている! 繰り返す! 何者かによる攻撃を受けている』」
「動きが早いね」
「シックス欺瞞情報をこの海軍基地が言う司令部に流し込んで」
「了解……ケケ、ちょっとマズイかも」
「どうした?」
「大陸の司令部の方で核兵器の使用を検討しているっぽい」
「早計過ぎるでしょ!」
「核兵器の伝達系統ジャックしたから起爆して良い?」
「やっちゃえ!」
「はい、チュドーン」
この日、大陸のウラジオストクに停泊していた核兵器搭載潜水艦の核ミサイルが起動し、大陸の司令部に直撃して大爆発を起こし、ロシア極東軍は壊滅状態に陥ったのだった。