20 みんなを招く俺と君
「ユキさま、そろそろ皆さんが当家に到着する頃かと。お迎えに行きましょう。」
お、もうそんな時間か。
パーティーの準備は花だけでなく、瑞季さんが手伝ってくれたお陰でとっくに終わっていた。
「雪彦様、よろしければ私が車を出しましょうか?」
「ありがとう瑞季さん、それじゃあお願いします。」
六条のお屋敷はとにかく広い。
僕たちの登下校は屋敷の中ではいつも瑞季さんか当真さんが学校に一番近い酉の門まで送ってくれている。
「はい。お客様はどちらの門にお出ででしょうか?」
「えっと、酉の門だよね?」
「はい、皆さんには酉の門までの地図をお渡しいたしました!」
「かしこまりました。それでは玄関前でお待ちください。車をまわします。」
◆
この屋敷には16の門がある。
干支の門に加え、艮、巽、坤、乾の4つを加えた門で、それぞれ方角を表している。
俺らの通う上高は酉の門、つまり西の方にあるんだ。
こんなに門があるのは、六条家代々の家を残しつつもどんどんと広げていったため、門を増やす必要があったからだそうだ。
門が見えてきた。
みんなそろってるな。
もう少し早く出ればよかったか。
「なにあの車!?」
「お、ユキ達が来たみたいだぜ?」
「え?敷地内を車で移動するのか!?」
「だんだん驚かなくなってきたわね…………」
「皆さん、お待たせしました!」
「いらっしゃい。今日は来てくれてありがとう。」
「花、そちらの方は?」
「初めまして。雪彦様と娘がお世話になっております。花の母親で雪彦様の父親の冬彦様の執事の宮司瑞季と申します。」
「は、初めまして!宮沢鈴と言います!」
「あ、俺は小澄奏多ですっ!」
「雪彦様と花をよろしくお願いいたします。花は稀に暴走しますし、雪彦様の、いえ、この二人鈍感さといえば………………ねぇ?」
「ええ。それはもう。」
「任せてくださいよ。」
奏多と宮沢さんがニヤニヤと答えた。
「二人とも……」
「お母さん……友達にそれは///」
「華奈美様もお久し振りでございます。」
「ええ、瑞季さんもお元気そうで。新年の挨拶以来でしょうか?」
「そうですね。お父様にもよろしくお伝えください。」
「凄いわ、大人の世界ね。」
「華奈美先輩がここに来るといつもそうだな。」
「やっぱり急に雰囲気が変わるよね。雪彦も花も華奈美先輩も小さな頃から教育を受けていたからね。雪彦とか小学生の頃から僕らよりも大人びてたな。」
そうなのかな?
自分では自然すぎてあまり気にしないけれど。
「そんなに違うものか?」
「おう、小学校の頃なんか急に何か憑依したかのように変わっていたからな。ちょっと怖かったな。」
「それはなんか悪かったよ。」
「いや、僕も別に慣れたしね。」
「私も慣れましたよ!」
「夏波ちゃん!久しぶり!」
「お久し振りです!雪彦兄!」
平山夏波ちゃん。
この子も僕らの幼なじみの一人で、小さな頃から一途に海斗を想っている可愛い俺らの妹のような存在だ。
「夏波ちゃん!!」
「花姉!!」
ギュッ!!
「ハハッ、相変わらず夏波と花は仲がいいな!」
「海斗君には言われたくないです!」
「花姉///」
花も夏波ちゃんはよく二人で遊びにも行っているぐらい、本当の姉妹のように仲がいい。
でも…………
「まあたしかに夏波が花とずっとイチャイチャしているのはあんまり嬉しくないな。俺にもかまって欲しくなる///」
ボシュ……………
あ、ゆで上がった。
なんか最近よく見るな。
「海斗くん!夏波ちゃんをお願いします!!」
「おう、任せろ!」
そう言って海斗は夏波ちゃんを抱えて先に車に乗りに行った。
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