2 高校生活が始まる俺と君
この話の文字数くらいで今後も週3~4話上げていこうと思います。
今回は花の出番があまりありません…………
「これより、上沢学園高等学校入学式を始めさせていただきます。」
教頭先生の挨拶で入学式が始まった。
俺達新入生は名前順で体育館に並べられているため、花とは少し離れている。
並ぶときには花が少し泣きそうになっていたが。
入学式は滞りなく進んでいった。
次の来賓の挨拶はこの学校のOBで、理事でもある親父だ。
来賓の挨拶で親父が出てくるのは小学校、中学生と3度目だったので流石になれてきたな。
今日の入学式には親父と瑞季さんと花の父親で瑞季さんと共に親父の仕事を支えてくれている当真さんが来てくれている。
当真さんと親父と瑞季さんは幼なじみで、親父の側にいた瑞季さんと恋に落ち、大学卒業後は宮司家に婿入りし、親父の仕事を支えている。
親父と当真さんはかなりフランクに友達のように社員と接しているため、とても慕われている。お陰で俺と花も小さな頃から社員さん逹可愛がってもらってきた。
そんな親父と当真さんを俺は心の底から尊敬している。
「新入生のみなさん。本日はご入学おめでとうございます。これから皆さんは勉強に進路、そして何より人間関係に悩まされていくことでしょう。私は社会人になってからも何度も悩まされてきました。それでも、前を向いていられたのは本当に信頼できる奴がいると思えたからです。俺も執事と親友の2人がどんなときも側で支えてくれました。どんなに人間関係に悩まされて、裏切られて、騙されて、人間不信になりそうでも、彼らがいてくれると心の中に信じられるだけで立ち上がることができます。皆さん。1人でいい。1人だけでいい。大切な、信頼できる人をつくってください。」
俺は自然と少し離れた花の方に視線を向けた。
すると花も俺のことを見ていてくれていた。
やっぱり俺にとって最も信頼があって、そして大切な人は花だ。花も同じように思ってくれていたことが本当に嬉しかった。
「最後に先生方、彼らに力添えをお願い致します。もちろん、我々保護者も愛するこども逹のために出来る限りのことをしようじゃありませんか!おそらく生徒の皆さんにはつまらないであろう私の話はここら辺にしておこうと思います。改めて、本日はご入学、おめでとうございます!」
パチパチパチパチ
まばらながらもしっかりとした拍手が起きた。少しはみんなも話を聞いてくれていたようだ。
俺は改めて親父を少しだけ、尊敬し直したと思う。
◆
あの後クラス別けのプリントが配られてた。
よしっ!花と一緒だ。そしてアイツらも………
教室に入ると、クラス緊張で少しだけ気まずい雰囲気だったが、その中で一際騒がしい奴がいた。こいつが居てくれるといつも通りだと安心することができる。
「おーい、海斗!」
俺の声に隣の席の男子に話しかけていた海斗がこちらを向いた。
「おっ!ユキ!お前もまた同じクラスだったな!3年間ヨロシク!」
こいつは天野海斗。俺と幼稚園から一緒の幼なじみであり親友だ。
「こちらこそよろしく!それにしてもまた同じクラスなんだな。」
「運命の赤い糸で結ばれてんじゃね?」
そう言いながら海斗は俺の肩に腕を回した。
「男同士で気持ち悪いこと言わないでよ。」
「アハハハッ!まあいいじゃねえかよ。俺らの仲だろ!」
「まあそうでもなくちゃここまで一緒にはならないよね。」
俺と海斗は幼稚園の頃から今まで違うクラスになったことがない。男同士は悲しいけど、本当に運命の赤い糸なんじゃないかなと疑いたくもなってくる。
まあ楽しいから大歓迎だけどね!
「そういえば佑樹は?クラス別けのプリントには名前があったけど?」
佑樹は俺と海斗のもう一人の幼なじみだ。俺と海斗と佑樹は幼稚園の頃からずっとつるんでいる。
「ああ、アイツはどうやら新入生代表だったらしいぜ。たぶん担任に呼ばれてるんじゃね?」
「その通り。この学校はクラスで入試の点数が1番高かった生徒がクラス委員やるそうで移動の時に呼ばれたんだよ。」
「うわっ、驚かせんなよ佑樹!」
「ハハッ、ごめんごめん。」
この委員長っぽい男が神野佑樹。
委員長っぽいと言うよりも小学校の頃からずっとクラス委員をやっている。まあいつも他薦なんだが。
「雪彦、花ちゃんも同じクラスだったね。よかったじゃないか!」
「うるさいよ。お前は顔は良いんだからもっとその意地の悪い性格を直せばモテんのに。」
こいつらは俺が花のことを好きなことを知っている。
そしてどうやら花が俺のことを好きだったのも気付いていたようだ。そんなに分かりやすかったらしいのに気付けなかった俺鈍感すぎるだろ………
「おあいにく。直さなくてもモテますので!」
「そういう所だよ。まあ性格がよくなったらお前ではくなるな。」
「よくわかってるね、雪彦。流石僕の親友だよ!」
所々にイラっとくるけど、それも含めてこの親友だ。何だかんだでいい奴だし。
「まあなんだ、みんな揃ってよかったじゃねぇか!」
「そうだね、やっぱり君たちと同じ高校にして正解だったよ。これから楽しくなりそうだ。」
そうだな。親父の言う通りこれから人間関係に悩んでも、こいつらは信じてくれるから俺も信じていける。本当にいい仲間だと思う。
ああ、これからの高校生活が楽しみだ!
「ユキ、そういえば花はどうした?いつもなら『片時も離れませんっ!』て言うくらいにお前の側に引っ付いてるのに。」
「そういえばそうだね。花ちゃんも同じクラスだよね?」
「はっ!そういえば花は…………」
ジーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
背後から物凄く視線を感じる。
おいお前らそのニヤニヤと面白そうな顔やめてくれ。
俺は恐る恐る後ろを振り返る。
「は、花?」
ジーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そこには教室の扉から少しだけ顔を出し、目を細くしてこちらを見つめる花がいた……………
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