のりこと時空の部屋16
気づくと、のりこの目の前に立っているのは翅をひろげたミノムシ型のオートマトンだった。
「「オマエハ、前ニ進ムコトヲ、選択シタ。最後ノ試練ハ、突破サレタ」」
「あるじどの!」
「やったわね、おじょうちゃん」
後ろをふりかえると、クワクとルーシェが立っている。
「……あたし、どうしてたの?」
「ぼおっとして、魅入られたようになっておりました」
「心の奥ふかくに潜入されたのね。でも、あなたはりっぱにその試練をぬけた」
「「ソウイウ、コトダ。ワレラノ役目ハ、終ワッタ」」
三体のオートマトンが声をそろえて言ったとたん、ぜんまいやねじやらの金属部品におおわれた部屋が、カチャクチャカチャとくずれ去った。
そのあとにのこったのは、はてしなく広がるまっしろな空間。
そして、その中空には白いペンキ塗りのとびらがぽつねんとうかんでいた。
その表面には「PARAISO」と金文字が刻印されていた。
「――ああ、やっと『ゲート』にまでたどりついたわ」
感慨ぶかけなルーシェのつぶやきに
「ゲート?どういうこと?あのとびらのむこうにメッヒがたましいをかくしているの?」
のりこの問いに
天使が
「それは、ね……」
と、言いかけたとき
「――それは、あなたがだまされたということです。あるじ」
かかった声にふりかえると、そこにいるのは
「……いぬ?」
あのアパートで出会った黒く小さなプードル犬が、まるで焼きだされたようにこげて立っていた。
「まったく……あなたは人の言うことを守りませんねぇ」
しゃべる小犬が体を一ふるいすると、そこに立ったのは
「メッヒ!」
愛用の袢纏もすっかりこげてボロボロ、顔も黒くすすけた、まるで戦争帰りのようにふきげんな番頭だった。




