のりこと時空の部屋12
「すごい!カナブンをやっつけた。ルーシェさんって、かしこいのね!
……っていうか今の問いの答えはなんなの?」
天使はうちえむと
「答えようがないから、この子はパニックになったのよ。――ああ、この手の問題をあんまりふかく考えてはだめよ。あなたの頭にまで火をふかれてはこまるわ」
心配しなくとも、もともと物事をふかく考えることが苦手なのりこに、ややこしい問題を考えるつもりはなかった。そんなことより
「とっとと次の試練を突破しようよ!」
「そうね」
のこった三体目のオートマトンは、前の二体とちがって、金属部品がただ不格好によせあつまって、じっと立っている。
まるでミノムシみたいだ。
その金属のミノの中から
「「デハ、最後ノ試練ヲ、受ケルガヨイ」」
と、声がひびく。
「よし。今度こそは、それがしがもう一度突破してくれるわ」
「あたしだって突破する気は満々よ」
クワクとルーシェのやる気に、まかせる気まんまんののりこだったが
「「ソウハ、イカナイ。私ノ試練ヲ受ケルノハ、ソコノ『コドモ』ダ」」
とミノムシに指定されて、ぎょっとした。
「――えっ?あたし?」
「なぜ!?その子はあたしたちについてきただけよ。試練ならあたしが受けるわ」
「そうでござる。それがしが受けまするぞ」
あわてる天使と蜘蛛に対して、
しかしミノムシは機械らしく冷淡に
「「ソウハ、イカナイ。スデニ、オマエタチ二人ハ、ソレゾレノ試練ヲ突破シタ。来タモノ、ヒトリヒトリガ、ヒトツズツ、試練ヲ突破スル。ソレガ、るーるダ」」
愛想もなにもない言いかたに
「そりゃないわよ。こども相手に」
「ひどいでござる」
文句を言うが通じない。
そんな無慈悲な機械に
「――しかたない。じゃあ、あたしが受けるよ」
のりこは緊張しつつも答えた。




