表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの旅館へようこそ!  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/350

のりこと時空の部屋11

 ルーシェは

「……どうやら、あの触覚にアカシック・レコードにつながる機能を持たせてるみたいね。

 こりゃ、なかなか手ごわいわ」


「アカシック・レコードって、なに?」


 のりこの問いに天使は

「この世に起きたあらゆる出来事を情報として保管しているところよ。そこに接続できれば、どんな情報でも知ることができるわね。

 たとえば、あなたが最後におねしょしたのはいつかなんてことまで、こいつはすぐに検索することができるってことよ」


「えっ!そんなヤダ!」


「「オマエガ、最後ニオネショヲシタノハ、去年ノ……」」


「言わなくていいから!」


 だめだ。このカナブンは、どうやらちまたのAIスピーカーなんかよりずっと性能がよいらしい。

 この世に起こったことをみんな知っているものが答えられない質問なんて、のりこには思いつかなかった。

 しかし、そんなふつうの少女に対して、うつくしい天使はちがったようだ。


 ルーシェは一歩前に出ると、ほほえんで

「ここはあたしの出番のようね。こう見えてあたしは、かしこさにおいては天界でも一番、って言われてたのよ。――カナブンさん、じゃあ、あたしの出す質問に答えてね。

 なにも漠然とした問いではないわ。イエスかノーで、正しいほうを答えてちょうだい」


「「ナンデモコイ」」


「じゃあ質問よ。『あなたは私の質問にノーとこたえる?』」


(――なんだ、それ?)


 そんなかんたんな質問、問題にすらなっていない。

 別にイエスで答えてもノーで答えても、どっちでもいいんじゃないか、とのりこは思ったが、見ると、カナブンは触角をぷるぷるふるわせて考えている。


「「ムムム。ソノ問イニハ、ドウ答エタラ、ヨイ?

『イエス』ト答エルト『あなたは私の質問にノーとこたえる?』ニ合ワナイカラ、ダメダ。

 カトイッテ『ノー』ト答エルト『あなたは私の質問にノーとこたえる?』ノ通リダカラ、『イエス』ニナッテシマウ。

 ……ナンダ?『イエス』『ノー』ドチラデ答エテモ、マズイコトニ、ナッテシマウゾ。

 ドウイウコトダ?ソンナ理屈ニ合ワナイ、コトガアルノカ?」」


 なんだかよくわからないけど、オートマトンはパニックになってしまったようだ。


「「『イエス』ガ『ノー』ニ、『ノー』ガ『イエス』ニ……イッタイ私ハ、ドウスル?私ハ、ドウナル?」」


 おかしなことを口走ったと思ったら、カナブンの触角はぐでんぐでんにふり回って、しまいにはちぎれた。頭からは、煙が出ている。

挿絵(By みてみん)

「「――マイッタ。私ニハ、答エラレナイ。第二ノ試練ハ、破ラレタ」」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ