のりこと時空の部屋10
クワクは、六本の手にほうきやデッキブラシ、ちりとりをもって前面に出ると
「よりによって、それがしのきらいな鎌虫の見てくれなんぞしおって!アナンシ流棒術、その 鋭のほうきをくらってみよ!」
と、カマキリにおそいかかった。
糸を吐くだけだと思っていたクワクは、意外にもほんとうに棒術にたけているらしく、ほうきとちりとりで、カマキリがふるう鎌とたくみにわたり合う。
「ちえいっ! 脛をこう打ちなやいて!胸板を、ほうど突く!」
クワクのほうき突きがみごとに胸部分に決まり、カマキリは頭転倒とひっくりかえった。
オートマトンは、こわれたおもちゃのように鎌をパタパタさせると
「「ヤラレタ。第一ノ試練ハ、破ラレタ」」
と、あっさり自らの敗北をみとめた。
「すごい!クワク!強いじゃん!」
「ははは。このくらい軽うござるよ。さあさ、次の試練とやらもそれがしが突破しましょう」
と、意気たかいクワクに対して、
二体目のオートマトン……カナブンに似たまるっこい甲虫状のものは、金属の触覚をプルプルふるわせると
「「私ガ、担当スル試練ニ、腕力ハ必要ナイ。私ガ、タメスノハ、知性ダ」」
と言った。
「知性……は苦手でござる」
「「――私ハ、創造者ノ手ニヨッテ、トテモ物知リニ設定サレテイル。
ソンナ私ガ、答エルコトガデキナイ、質問ヲ、出スコトガデキタラ、第二ノ試練ハ突破トナル」」
答えることができない質問?なにそれ?
「「タダシ、漠然トシタ質問ヲ、出スノハ、イケナイ。
ハッキリトシタ、答エガ出セル質問デナイト、ダメダ。
タトエバ『恋ノ味ッテ、ドンナ味?』ナドトイウ質問ハ、ダメダゾ。
タブン答エハ『アマズッパイ』ダロウケドナ。フフフフフ」」
言いながらカナブン型オートマトンはわらっているように見えた。
ほんとうにメッヒがつくったんだろうか?設定がふざけすぎてない?
クワクは、いきおいこんで
「そうか!ようはおぬしの知らないことを問いとして出せばよいのでござるな!――よしっ!ならばおぬし、それがしの本名を正しくこたえて見よ!なにせ、それがしの名前は長ったらしうて、父上・母上でも正確には言えなかったぐらいでな」
自信満々で問うたクワクに対して、カナブンはしばらくピクピク触角をふるわせると
「「ソンナ問イハ、タヤスイコトダ。オマエノ名ハ
『ずーたら・こーたら・あーのうったまげ・へんちょん・ころいや・ずーぴずーぴぱっぱらいや・っこっころいけ・ちょいしちょいし・あなんし・うんど・あそ・ほいのせ・くわく』
ダ」」
クワクはぎょうてん顔で
「なんと!こたえおった!」




