のりこと時空の部屋9
のりこが目を開くと、まわりはすっかり、ぜんまいとねじなどの金属部品が複雑にからみあった空間になっていて、そこらじゅうからカッチカッチという音がかしましい。
「――なに、ここ?」
「置時計の中に入ったのよ……あれは!?」
ルーシェが指さすのは、ぜんまいとねじなどの金属部品が、まるで命を持っているかのように、みずからよせ集まって、形を成していくすがただった。
それらは三つの、おのおのちがうすがたをとると、その金属の口をパカパカさせて
「「アハハハハ。ヨクコノ『時空ノ間』ニ、侵入シテキオッタナ。命知ラズノ、タワケドモメ。
ココヨリ先ニ、進ミタケレバ、ワレラガ出ス、三ツノ試練ヲ、突破セヨ。
サモナクバ、死、アルノミダ」」
機械的な声で、なんだかえらそうに宣言してきた。
ルーシェはにがにがしそうに
「ふん、魔術じかけのからくりね。どうやら、こいつらの出す試練とやらをくくらないと目指すところには行けないようにプログラミングしてあるんだわ。さすが『あいつ』のやることは趣味がわるいわ」
ルーシェはそう言ったけど、のりこには、メッヒが三つの試練なんてゲームじみたものをしかけていることが意外だった。
あの番頭、もとい悪魔にはそんな遊び心はゼロだと思っていたからだ。しかし、実際にしかけているものはしかたない。
「「マズハ、武力ノ試練ダ!ワレト、勝負セヨ!」」
かけ声とともに前に出たのは、三体のオートマトンのうち、カマキリのような見てくれをしたやつだ。
金属製の大きな鎌をふりかざして、のりこたちにおそいかかってくる。
「きゃあっ!」
「あるじ、あぶのうござる!」
クワクが吐きだした糸に引っぱられて、のりこは間一髪、難をのがれた。
見ると袢纏の袖がひきさかれている。クワクがいなければ腕ごと切られているところだ。
「おのれ!婦女子に不意打ちとは武士の風上にもおけぬひきょうなやつ。
なんじが相手はこのアナンシが末息子・クワクがつとめてくりょう!」




