表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの旅館へようこそ!  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/350

のりこと時空の部屋4


「なんとっ!」


 従業員たちの助けもおよばず、少女の危機かと思われた、

 その瞬間!


 一階の廊下一面にまばゆいばかりの白い光がそそがれて、黒い瘴気が苦しげに消え去った。


 そこに二階への階段からのんきな声で

「――あらまあ、なんだか朝からにぎやかねぇ。ゆっくり朝寝もしてられないわ」


 あくびまじりで下りてきたのは、長期宿泊客のルーシェだった。


 そのしどけなく寝みだれた浴衣すがたの背中からは、白くかがやく大きなつばさが生えている。

 その神々しいすがたに、


 のりこが思わず

「ルーシェさん……まるで天使みたい」

 とつぶやくと、


 美貌の客は不服げに

「あら、その言い方は失礼ね。これが見えない?」

 あたまの上を指さすと、そこにあるのは光の輪だった。

挿絵(By みてみん)

「あたしはモノホンのエンジェルよ」






「たいへんねぇ。朝からもう、こんなにわちゃくちゃしちゃって」

 天使はクワクの入れたお茶をすすりながら言った。


 お美和やアンジーはおのおの言いつけられた仕事をしていて、ラウンジにはいない。


 そのあえかな手をふるうたびに白くやわらかな光が放たれ、下からあふれ出た黒い瘴気をかき消していく。

「客にこんな掃除のまねごとをさせるなんてこまったものね。今いる客があたしだけだからいいようなものだけど、クラレーヴァなんかだとたけりくるうわよ。まったく、こんなときにあの番頭はどこへ行ったのかしら?」


 メッヒはいい顔をしないだろうが、たすけてもらったのだ。

 のりこは、天使のお客に正直に事情を言うことにした。


「すいません、うちの釜の底がぬけました。メッヒはそれで今、下に行ってます」


 ルーシェはそれを聞くと、まゆをひそめて

「やぁねえ。やっぱしこれは地獄からもれ出した瘴気ね。じゃあなに?メッヒは今、地獄に行って、下のものが上がってこないようにしてるわけ?」


 すべてお見通しらしい客の問いに、あるじがだまってコクンとうなずくと


「ふうん――。まあ、しかしそれは、ただしい処置ね。地獄の住人に上がってこられたら、天使のあたしとしてもたいへんだもの。じゃあ、あの番頭には釜のふたが直るまでせいぜいがんばってもらいましょう。

 なあに、心配しなくても、あの番頭なら地獄のものぐらいひとりでふせげるわ」


 お茶を一口すすると、つづけて

「――なによりメッヒとしては、よけいなものに出てこられては自分の本業がやりにくいから、がんばるでしょうよ」

 

 なんだか皮肉げに言った。



2025.5.27

再更新(挿絵描き直し)は、このepisodeまでです。

次回更新は6/4を予定しています。

おたのしみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ