のりこと魔女の店20
あるじの疑問に番頭はふくみわらいをすると
「フフッ、あれにはおどろきました。あなたがあんな大胆なことを思いつくとは、もちろん私にもわかりませんでした」
「じゃあなんで?」
「実は、今回の勝利は想定外の出来事が重なってのものでした。私の計画では、『宝探し』のとき部屋の中を鍵をさがして動き回るのは、あの魔女ではなくアンジェリカのはずでした。今までの勝負ではそうだと聞いていたからです」
横のアンジェリカもうなずいて
「はい。あの女主人は体が重たく横着ですから『宝探し』も自分では動かず、あたしにさせていました。どうせかくし場所は心を読んで知っていますから、わざわざ汗をかくことをしなかったのです」
「しかし今回はちがった。あの魔女のやつ、私をしもべにしたことでうかれていたのか、自分で探しましたね。あのようにヘクセが動くとは想定外でした。
私の策略ではアンジェリカに鍵を探させたうえで、それをこっそり、魔女に知られないようにほかの場所にうつさせるつもりだったのに、その予定がくるってしまった。実は、私はあのとき冷や冷やしていたのですよ。
ですから、あるじがアンジェリカのポケットに鍵をかくしてくれたのは、ほんとうに大助かりでした。さもなくば、あやうく負けるところでしたよ!」
(――えっ、なに?そんなあぶない勝負だったの?あの「負けるような勝負はしない」ということばは?)
「……まあ、最悪負けたところでわれわれ従業員の仕事はなにも変わりませんからね。あの魔女ごときが主人だと言っても、私の力なら、なんとでも言うことを聞かせてやれます。けっして、この旅館の質を落とさせたりするものではありませんよ。
とにかくあるじ、よい教訓です。バクチなどというものはしないにかぎります。今後、このような危険なものには一切かかわらないように」
「さんざん自分がさせといて、そんなこと言うの?」
わらう番頭に、のりこはあきれた。




