のりこと魔女の店15
「もういいよ」
のりこがとびらを開けると、そのわきをぬけて魔女とメッヒ、そしてアンジェリカが入ってきた。
虫かごのクワクとライターのユコバックは、メッヒがはこんでいる。
魔女はいかにも楽しそうに
「ふうむ、じゃあ探しはじめるよ。アンジェリカ、時計!」
「……はい」
かれんな少女は、テーブルの上の砂時計をひっくりかえした。
「この砂が落ちきったら五分です」
「さあて。いったいどこだろうねぇ」
手をすり合わせながら鍵を探しはじめた魔女に対して、
のりこは自信があった。
(ふつうに探してもぜったいに見つからない)
「――ここかな?」
とんがり耳の気味のわるい仏像をゆさぶったが
「ちがった。ないね」
そう言いながら魔女はのりこの方をちらちらとぬすみ見る。
自分が目を動かすと、そこからかくした場所がわかってしまうかもしれないと、のりこはわざと見当ちがいの天井や壁のすみを見た。
「ほう。なかなかわかってるじゃないか」
魔女はわらうと今度は、チェストの引き出しの中身をだいたんに床にぶちまけた。
「……ここもないねえ」
そうしているうちにも砂時計の砂は刻一刻と下にながれ落ちていく。まったく見当ちがいのテーブルや棚を探る魔女に、のりこは大きく希望がわいてきた。
(やった!このままなら見つからないですむにちがいない)
のこり一分というところだろうか。
砂もだいぶん減ってよゆうが出てきたのりこに対して、探しまわってつかれたふうな魔女は
「……あんたはとてもかしこい娘だね。それにとても度胸もある。
あたしはなんどもこの宝探しをしてきたが、あんたほどうまくものをかくした相手はいないよ」
たたえて言った。
(よかった……)
ほっとする少女に、しかし魔女は、すっかりおなじみになった耳せせまでさける魔物特有の笑みを見せると
「けど相手がわるかったね。あたしにはあんたがどこに鍵をかくしたのか『はじめから』お見通しなのさ」
魔女のとうとつな宣言に少女は面食らって
「えっ……?ひどい!なにそれ?やっぱしのぞいていたんじゃないの!『魔女の誓言』をやぶったの!?」
少女の当然の怒りを魔女は鼻でわらって
「そんなことはしていないさ。――もう、あたしの手のうちを明かしてもよいだろう。メッヒですら知らないあたしの秘密の能力、それは『人間の心を読むことができる』ってことさ。
この能力によって、あたしは人間とのだいじな勝負にはすべて勝ってきた。この店にある品は、すべてそうやって手に入れてきたものだ。
ただし、そんなあたしの能力でも、そこのにくったらしい元あるじの心を読むことはできなかった。
なにせ、そいつの心の闇は奥が知れないからね……」




