のりこと魔女の店14
(……だいいち、それってゲームとしてどうなんだろう?)
こんなにゴチャゴチャしている部屋だ。うまく鍵をかくせることができれば、それを五分以内に見つけるのはたいへんだと思う。
でも、魔女が自分に不利な勝負を言ってくるはずがない。魔女はこの部屋のことはすみからすみまで知っているはずだし、ほかにもなにかインチキをしてくるはずだ。
「実は監視カメラとかで、あたしがかくすところをのぞくんじゃないの?」
少女のうたぐり眼に
魔女はわらって
「ふふふ、そんなマネはしないよ。あたしはここでちかおう。あたしはなにひとつ、あんたが鍵をかくすところがわかるようなしかけを部屋におかない」
指をへんなかたちに曲げて宣言した魔女に、メッヒが
「これは『魔女の誓言』と言って、真実のみを口にすることをちかう儀礼です。うそをついたら、地獄の業火にその身が焼きつくされる、たいへん重いものです」
横から解説をくわえた。
(じゃあ、信用してもいいのかな?)
のりこはなやんだが、けっきょく宝探し勝負を受けることにした。
どんなゲームをするにしろ、のりこが不利だろうことは変わらないからだ。
「そうかい。では、あたしたちは一〇分ほど外に出るからね。そのあいだにかくすんだよ」
魔女やメッヒたちが全員、部屋の外に出て、のりこだけが取りのこされた。
「――ううぅ。でも、いったいどこにかくしたらいいんだよぉ?」
部屋の中を見わたすと、たしかに物がいっぱいあって、うまいかくし場所なんていくらでもあるように思う。しかし、それらすべてがあの魔女の持ち物なのだ。どこにかくしても気どられるような気がしてならない。
(あのたくさんあるかけ時計のゼンマイの中にほうりこめばわからないかしら?それともシャレコウベの目の奥?……いや、それじゃあかんたんに探されてしまう。思いきって棚と壁のすきまに落としたほうが見つかりにくいんじゃないかしら?いや、でも……)
選択肢が多すぎて、どれがよいかわからなくなった小学四年生は思わずさけんだ。
「……もおっ!こうなったら、この部屋『以外』にかくしてやろうかしら!それなら見つかりっこ……」
そもそものルールを無視するやけっぱちを口走った少女は、しかしこのとき思いついた。
(そうだ!この部屋のなかのどこにかくしてもよいのなら、いっそのこと……でも、そんなのうまくいくかしら?……もしかしたら、すぐに気づかれちゃうかも。だけど、そこ以外のうまい場所が思いつかないよ)
少女は考えたすえ、鍵をかくす場所を決めた。




