表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの旅館へようこそ!  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/350

のりこと霧の部屋14

「あら、いややわ。ほんにポルコさまったら、ええかげんなことばっかり言うてから!」

「ホッホ。そんなことはないよ。あなたのようなレディにウソはつかない」


 綾石旅館の三十畳からなる中宴会場では、陽気な豚頭(ぶたがしら)のおじさん・ポルコさまが、おだんご髪に作務衣すがたとなったお美和さんのお酌をきげんよさそうに受けていた。

 その前には、彼らが「ふたり」でたいらげた一〇〇人前にもおよぶ大量の焼き栗の皮が積まれている。


 浴衣に身をくるんだ巨大な豚の精霊・ポルコさまは、すでにはちきれんばかりにふくれたおなかをさすって

「ホッホ。ほんとうに、ほれぼれする食べっぷりだ、セニョリタ・オミワ!あなたといっしょにタンバの栗をむさぼりつくしたくて、わたしはまた日本に来たのです!さあ、もっともっと食べてください」


 それに対してお美和は、二五一五個目となる栗をその裂けた口の中にほうりこみながら

「いややわ、むさぼるなんて下品な豚さんね!」

 ポルコさまのりっぱな豚鼻をツンツンして、てきとうにあしらっている。

挿絵(By みてみん)

 そんなふたりの底なしの飲食をあきれて見ているのりこに、空のお銚子と栗の皮をかたづけながらメッヒは解説した。

「――偉大なるポルコ(パドーレ・ポルコ)は、スペインのけものを治めている方で、(なだ)の日本酒と丹波の栗をこよなく愛しておられます。気前がよくて大変ありがたいお客さまですが、自分と同じように飲み食いできるものがそばにいないとふきげんになるのです。

そして、うちのスタッフでポルコさまの相手ができるのは、お美和だけなのです」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ