表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの旅館へようこそ!  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

339/350

のりこと叔母(続)3の13

 次の瞬間、妖精は怒りに顔をゆがませ吠えた。

「しかし!またもや、ぼくは魔女にしてやられたのだ!蘭子に近づくバビロン女の本性に気づくことができなかった!イニーナに邪魔とみなされたぼくは、不意を打たれて小瓶に封じられてしまった!」


 精霊って、簡単に封じこめられるんだね。


「きみたちがあの女を倒してくれたおかげで、ぼくの封印は解けた。しかし、なんということか!あわてて蘭子のもとに駆けつけたら、そばにいるのはあのにくいシコラクスの子孫……ラヴィニア・ウェイトリーとその息子ではないか!しかも、蘭子は記憶を失っている。ぼくの気配を感じることもできないでいた。

 なんてことだ!育ての親と言っても良いぼくに気づかず、ラヴィニア親子を世話役と思うだなんて!悲劇!なんたる悲劇だ!」


 妖精は芝居がかって大げさに嘆くと

「蘭子の安全を考えると、安易にぼくの姿を明かすわけにもいかない。ぼくはただの一宿泊客として彼女を遠巻きに見守ることしかできなかった……まあ、時にはハーピーのすがたになったりして守ったがね」


「えっ!?あれは、ハーピーが蘭子おねえちゃんをおそったんじゃなかったの?」

 のりこのおどろきに


「そんなのは、あの魔女の嘘っぱちだ!あれはシコラクスが無理やり蘭子の記憶に立ち入り、幹久が隠したこの島の場所を探ろうとしたから、それを阻止したのだ。あの子を傷つけるようなまねは、ぼくが許さない!」

 ほんものの世話役としてプライドを見せた。


「なんで、ラヴィニアさんはこの島のありかが知りたいの?」


「それは……」

 少女の問いに、妖精がこたえようとしたとき


「――もちろん、かつて入手しそこねた『この本』を見つけるためです」

 横入りしてきたのは、その話題の魔女……現在の年老いたラヴィニア・ウェイトリーだった。その手には、エアリアルの幻影内で鬼三郎が持っていた古めかしい書物がある。

挿絵(By みてみん)


 万事おおぎょうな空気の精は

「――しまった!ぼくよりも先に見つけられた!」

 その場でトンボを切って驚きとくやしさを表現する。

 とった動きはふざけているが、表情は青くへんじている。


 アルビノの老女は

「……やっと手に入れました。かつて、わたしはもう少しの差でこの書を手におさめるところでした。それを、あなたの母親によって遮られました。百合子の放った術の後遺的障害により、わたしのことばは不自然に変化し、その結果としてまともな魔術詠唱が困難となりました」


 ぎこちない翻訳調だったのは、おかあさんにやられたからなのか!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ