表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの旅館へようこそ!  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

321/350

のりこと叔母(続)2の8


「自分がプロスペロのすえであることに強い誇りを持っていて、魔道家として廃れた志魔しま家を再興させることに命をかけてらした。

 自分の研鑽も惜しまなかったし、百合子おねえさまへの教育も厳しかった。 ですから、おねえさまが家を捨てて出たときはショックだったのでしょうね。急激に弱ってお亡くなりになったの」


 ……うーん、聞かなかったほうが良かったかな。しかたなかったとはいえ、おじいさんとおかあさんとのあいだに問題があったというのは、孫として知りたくなかった。


「あたしに才能があれば良かったんでしょうけど、まるでなかったからね」

 たしかに蘭子は復活以来、一度も魔術師らしいところを見せていない。


「ほんとうに幼かったときはそこそこ出来たような気がするんだけど……途中からまるでダメ。そよ風一つ起こせない役立たずになってしまった」

 つづけて

「百合子おねえさまの記憶も、とちゅうまではちゃんとあるの。特に、あたしがまだ小さなこどもだったころのことは、昨日のことのようにはっきりとね。

 だいぶん年が離れていたからか、あたしにはとてもやさしくしてくださったわ。

 ――まさか、姉さまが家を継ぐのをやめて、男の人について家を出ていくだなんて思わなかった」


 うっ。その男の人って……


「ええ。幹久(みきひささま。あなたのお父さまは、ゆかいな方だったわ」


 また幹久、おまえか……こまった顔ののりこに、


 ランコは朗らかに

「あなたがなにか思う必要なんてなくてよ。すべてはねえさま自身の決断ですもの」

 ちょっと遠い目になって

「ねえさまのご気性が変わったのは、たしかに学園で幹久さんとお会いしてからでしょうね。今までなにも考えずに来た自分の家のありかたに疑問を覚えたんじゃないかしら?」


 そういや、おとうさんがおかあさんにわるい影響を与えたみたいなことをニセモノ・ランコも言ってたな。


「とにかく、おねえさまが出ていかれ、おとうさまもお亡くなりになって、魔の才が無いあたしだけではやっていけない。志魔家は廃絶した」

挿絵(By みてみん)

 蘭子はそこで眉をひそめると

「――ほんと、その後あたしはいったいどうやって生きてたのかしら?シコラクスが支えてくれたということなのだけど、そのあたりの記憶がほんと……たよりないのよね。

 そうしているうちにやってきたのが、あのユリコねえさまの同級生……イシュタルの巫女・イニーナだった。あたしはおろかで物知らずだったから、彼女がどんなに危険な存在かちっともわからなかったの」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ