表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの旅館へようこそ!  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/350

のりこと霧の部屋8

 バキ――ン。


 のりこは屋根らしきものを突きやぶると地面に落下した。


「……あ――っ、こわかった」

 さいわいなことに、じょうぶな蜘蛛の糸にくるまれていたおかげで、少女の身にはケガもなにもない。


 のりこは自分をくるむ糸からぬけだすと、上の穴を見て

「クワク!」

 たすけを呼んだ。


 しかし返事はない。

 そんなに長い距離を落ちたわけでもないのに、どういうことだろう?


(う――ん、ここはあんまり深く考えずにおこう。どうせ『ここ』はまともじゃないんだから)

 この旅館の異常さに慣れてきたのりこは、気もちを早々と切りかえて、ここから出るべくあたりを見わたした。


 暗くてわかりにくいが、どうやら古い日本の農家のような土間づくりにわらがしきつめられている。そして、そこに


(におうなぁ)


 ケモノくさいにおいがふんぷんとたちこめている。まるで

(動物園のオリに入ってしまったみたい……)

 と思っていると


「モ―――ッ」

 急に、暗い奥から鳴き声がした。なんだか大きな影がうごめくのが見える。


「えっ、なに?…………ウシ?」

 のりこが思わずささやくと


「――牛だと?失敬な(わっぱ)だな。わしをそのような家畜といっしょにするとは」

 頭をもたげて少女の方を向いたその顔は

挿絵(By みてみん)

「に、にんげん!人面犬といっしょ!」

 のりこの発言に、


 その人の(おもて)に牛の体をもったものはさらにふきげんそうに

「ハンッ!いったいこのわしのどこが犬に見える?おろかな童よ」

 尊大な口調で言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ