のりこと妖女なお客とお友だち15
のりこのさけびもむなしく、十字架がつきたてられたのは
「――おねえさま!」
妖女の豊かな胸乳の下だった。芽依をかばったのだ。
「リリィさま!いったいどうしてそこまで?」
侍女の声を無視して、女王は
「……あぁぁ、めんどくさいことになったわねぇ。こんなものを受けるために、あたしはこの街にまた来たわけじゃないのだけど。
でも痛いわねえ、これ。ホント、あの園はあたしにろくなことをしない。
こんなもので死ぬなら苦労はしないけど、そうもいかない。でも、さすがに制御は利かなくなるわね。……今、この街には医者がいないんでしょ?じゃあ、いったいだれがこうなったあたしを治すのかしら?」
だるげに言うと、芽依をメッヒのほうに突き飛ばした。
「その子を早く遠ざけて」
「よろしいのですか?」
「……ええ。おねがい、悪魔。もうもたないわ」
そう言うリリィの体の内から、桃色やら紫色やらのどんみりとした気配がもれでてきた。
「かしこまりました」
「おねえさま!」
「――さようなら、あたしのかわいい娘」
「危険です。この部屋から離れます、あるじ」
そう言うと、番頭はみなまで言わさず少女たちを抱え、窓から直接旅館の外……中庭に飛び出した。
「メッヒ!どういうこと?」
のりこが問うまにも、旅館の壁が突き破られる。
あふれ出るのは、リリィの身から出たけわいだ。
番頭はそれを見て
「旅館の壁でもおさえきれませんか……さすが原初の夢魔ですね。
リリィが制御していた彼女の内なる夢幻が、杭をさされたことによりあふれ始めました。
――こまりましたね。あれがうちの外に出るとなると、さすがに協議会もだまっていないでしょう。かつての戦いが繰り返されます」
息をついた。




