のりことお友だちのお泊り会23
「かつて、偉大なるラビ・レーヴは労苦にあえでいた同朋を救うために、この呪符を用いて巨大な人型の土人形……ゴーレムをあやつり動かし、その負担をとりのぞこうとなさった。
しかし、そのとき助手だったわしは未熟さから操作を誤りゴーレムを暴走させ、逆に多くのものを死に追いやってしまったのだ。
師の力によってゴーレムは破壊されたが、そのときの混乱で動力源たる『ダビデの星』は行方不明となってしまった。
そこで師レーヴは、わしに懲罰の意味もこめて失われた呪符を探し求める旅に出るよう命じられたのじゃ。
それからは『星』の情報を得ては、空足をふむ……という日々をくりかえしておったが、最近になって日本の魔術師がそれらしきものを入手したという情報を得たため、わしはその行方不明の術師……フユヒコの実家であるこの旅館に滞在することにしたのだ。
そして、部屋にこもって館内のようすをうかがっておったのじゃが、はからずもついに今日、こうして師の遺品を見つけることができた。
まさか、わが師最大の秘術が、おもちゃの動力源につかわれているとは思いもよらんかったがな!
まったく、おぬしの父はとんでもないいたずら小僧じゃわい!」
「ええ、ほんとに。ラビの助けがなければ、あるじたちを助けに行くのが手おくれになるところでした」
老ラビと番頭のことばに、のりこも
(――そうだよ!ほんと、ろくでもないよ。ふゆひこ!)
まだ見ぬ父に(心の中でふたたび)毒づいた。




