表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの旅館へようこそ!  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/350

のりことあやしい旅館20

 のりこはメッヒに

「……かむのいしって、あの白い粉のこと?」


「ああ、ごらんになったんですか。ええ、あれはこのあたりで取れる流紋岩系の鉱石です」


「鉱石って……石でしょ?でも、あの(ひと)、なめてたよ」


「ええ、あの山の神はあの石に目がなくてね」


「……神?」


「ええ、あれはロシアのウラル山脈一帯をおさめている山の神……蛇の女王(クラレーヴァ)です。鉱石の味にはたいへんうるさい方ですが、かむの石はことのほかお気に入りでしてね。いらっしゃるたびに(ほっ)せられます。

 しかし今、新規に取れるかむの石はほとんどないのです。クラレ―ヴァの親類で、かむのの地下のぬしであるアカカガチでさえほとんど持っていません。

 なにせ『かむのこう』を手入れできる唯一の砥石といしですから、研ぎ師がおさえているんです。うちが持っているのは、かむのの研ぎ師にゆうづうしてもらったその削りカス……砥粉とのこです。

 かむの石はほかのゴブリンやコボルトといった鉱山系の精霊も欲しがるので、クラレ―ヴァにばかりゆうづうしてはダメなんですが……どうもクワクはヘビに弱い」


「しかたありませぬよ。わが一族はむかしから長虫(ながむし)には(よわ)ぁござる」

 クワクは首をすくめた。


 どうやら白い粉はあぶないオクスリではなさそうだ。しかし、もうひとつの疑惑はのこっている。


「じゃあ、じゅ……」

 のりこが思いきってたずねようとすると、


 今度は、あの棒っきれのように細長いアジア青年が部屋から出て来た。ごきげんそうだ。

「ああ、番頭。いま性能たしかめたけど、よかった。これでボスもよろこぶ」


 その手にあるのは

「銃!……て、あれ?」


 青年が持つのは、黄色と緑の蛍光プラスティックでつくられた

 ピュゥ――ッ。

 ライフル型の水鉄砲だった。

挿絵(By みてみん)

「それはようございました。のこりの分は空輸でお送りしますのでご安心を。では、お気をつけてお帰りくださいまし」

 なにごとも問題なく客を見送る番頭に


 のりこは

「ねえ、あれってあなたが用意をたのまれてた銃?」


「ああ、なんですか。そんなことまで聞いていたんですか?意外と油断のならないおじょうさんですね、あなたは。――ええ、集めましたよ、三〇〇丁。たいへんでしたが」


「水鉄砲を三〇〇丁も?なんで?」


「ふむ。たしかにベトナムの案山子かかしが水鉄砲の買い付けに来るのはめずらしいことです。あなたのオツムではちょっと見当はつきかねるでしょうね」


 また失礼な言い方をされたが、それよりもはるかに気になることばがあったぞ。

「ちょ、ちょっとまって。あの人ってかかしなの?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ