のりことお友だちのお泊り会19
のりこが出たのは、ほの明るい空間だった。
ランプの黄色い光が、あたりをおおっている。
(ミラーハウスを出たんだ……)
目の前にあるのは、とても古めかしい小さなメリーゴーランドだった。
その天蓋に貼られてあるのは
(あっ、ダビデの星!)
古けた羊皮紙に描かれた六芒星とヘブライ文字だ。
その下では、一頭の黒木馬にひかれる馬車が回っていて、そこに乗っているのは……
「あっ!芽依ちゃん!美桜ちゃん!」
ふたりの少女だ。
やっと見つけたが、のりこのかけ声に反応することもなく肩をよせあい目を閉じている。
(だいじょうぶかしら!?)
かけよろうとする少女のうしろから
「――心配いらねえ。その子らは眠ってるだけさ」
聞きおぼえのある声がかけられた。
のりこがふりかえった先にいるのは
「あっ、ロイさん!」
ともにこの世界へと飛びこんだ仙人・呂洞賓のすがただった。
「先に見つけてくれたの?ありがとう。――ふたりとも無事なのね?」
「ああ……今のところはな」
「じゃあ、はやくつれ出さないと」
そう言って、少女たちのもとにむかおうとするのりこに
「――そうはいかねえ」
「えっ?」
腕をとらえた仙人の肩の上には、少女たちを誘いこんだ小さな青い鳥がとまっていた。
「――どういうこと?」
少女あるじの戸惑った問いに、仙人はその長いヒゲをしごきながら
「……まあ、あんたをまっすぐにここにつれてきてもよかったんだが、それだと、あんまり趣向ってものがないだろう?
せっかく遊園地に来てもらったんだから、多少のハラハラドキドキぐらいは味わってもらいたいと思ってな」
のりこは
「あなた!?さては最っ初から仕組んでたの?あたしたちをおびきよせて!」
「――まあ、そういうこったな」
しらっとした仙人の口調に、少女はハッとして
「あなた!ほんもののロイさん……呂洞賓じゃないのね!?」
怒りのまなじりでさけんだ。
「へえ、わかるかい?」
「そりゃそうよ!立派な仙人のロイさんが、こんなふうに人間をからかったりするわけないもの!」
実際は、ホンモノの呂洞賓はかなりのいたずら好きで、しょっちゅう人間をからかっているのだが、それは置いておこう。
呂洞賓の「すがたをしたもの」は、少女のことばに
「ハハハ。やっぱり、おれとあんたじゃちがうのかねえ?」
そうわらいながら袂からとりだした透明な瓶の中にいるのは……
「あっ!ロイさん!?」
小さくなった呂洞賓のすがただった。
「出してくれ」と言っているのか、瓶の壁をたたいている。




