のりことお友だちのお泊り会14
「……でも、なんか最初に来たときからみょうな感じがするんだよね」
「あっ、美桜ちゃんも?……実はあたしもそうなの。だけど、それがなんなのかわからない」
その違和感は、旅館の力によりさまざまな国のことばがすべて問題なくわかっていることから来ているのだが、それに対する判断力自体も、また旅館によってうばわれていた。
「――まっ、いいか」
「うん、いい……って、あれ?どこに行っちゃったんだろう?」
「どうしたの?」
「ここにつけてたチョウチョのヘア・クリップがない。落としちゃった」
美桜は意外なぐらいうろたえて
「あれぇ?どこ行ったんだろう?あのクリップ、センスは悪いけどパパにもらった記念品なの。お風呂場でちゃんと付けなおしたつもりだったのに……」
「ないねえ。のりこちゃんいないけど、ちょっとお風呂場に行って探してみようか?」
少女二人が意を決して、廊下に出ると
カシャシャシャシャ……
どこからとなく鳴き声のようなものが聞こえる。
「えっ、なに?」
「あっ、あれ!」
見ると、廊下を小さな青い鳥が飛んでいる。
「なんで、こんなとこに鳥が?」
「どこかから逃げたのかな?それよりも、あの鳥がくわえていたのって……」
「うん、あたしのクリップだ!やだ、ドロボウ!まちなさい!」
追いかけると、鳥は開いた障子のすきまからどこかの部屋に入った。
すきまからうかがうと暗くて静か……だれもいない部屋のようだ。
「やめとこうよ、美桜ちゃん」
「だいじょうぶ。だれもいないから……それに逃げ出した鳥なら、つかまえてあげた方がいいでしょ」
積極的な美桜はおそれず障子戸を開けて入る。
――あれ?いない。
さらに奥の障子にすきまがある。そっちに逃げたか。
つづけて戸を開けると、だれもいない。
そして、その奥の障子にまた少しだけすきまがある。
それが、くり返されて……
あれ?この旅館、こんなに大きいのかしら?
それに、だれにも会わないなんて……
そう不思議に思いつつもカシャシャシャシャ……と鳴く声に引かれるように……
そして、少女たちは消えた。




