表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの旅館へようこそ!  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

188/350

のりことお友だちのお泊り会10

 きのう客や番頭と交わしたそんな会話を思い出しながら、のりこは浴場の湯船にひたっていた。

 いっしょにお風呂に入っているのはもちろん、自分が招待した二人のクラスメート・芽依と美桜だ。


 ちょっと早いかと思ったが、釜焚きのユコバックに

「あるじ。先に入っちまったらどうだ?いまのうちなら貸し切りにできるぜ」

 と言われたから、すすめられるままに大浴場に入ったのだ。


 三人っきりで大きなお風呂に入るのはぜいたくな感じで、それだけで楽しかった。


「――えいっ!」

「きゃあっ!」

 美桜が芽依に、水鉄砲でお湯をかけてたわむれる。

 挿絵(By みてみん)


 水鉄砲やアヒルのおもちゃで遊ぶなんて、ふつうに客がいるときにはぜったいできないが、ユコバックが気を利かして置いておいてくれたのだ。

 さすが、あの伊達男ふう悪魔は女性の機嫌を取るのが上手だった。


「ねえ、のりこちゃん。あそこにある大きな甲羅っぽいのはなに?オブジェ?」


 浴場の端っこに置かれたものについてたずねられたのりこは、湯気にぼんやりとして

「――ああ、それはこないだ泊まったアフリカのカニさんのだよ。お風呂につかってるうちにあんまり気持ちよくなっちゃって、そのまま脱皮しちゃったんだ」

 と、つい正直に説明したら


「――ふふっ。のりこちゃんって意外と冗談が好きなんだね」

 と、ふたりに笑われて、ちょっとあわてた。


(そうだった。ふつうの宿ではカニさんはお風呂に入らないんだった。あたしも、この旅館に慣れすぎてる。気をつけないと)

 わらってごまかす少女だった。 

 


 そのあと、みんなで浴衣に着替えて部屋にもどると、もうすでに夕ご飯の用意がしてあった。

 テーブルの上にひとりひとり料理が並べられていて、ほんとうにふつうに旅行をしに来たみたいだ、と芽依は思った。

 しかし、まさかはじめてのお友だちの家へのお泊りが、こんな立派なものになるとは。


「これじゃ、まるっきり旅行に来たのとおなじだね。……っていうか、こんなすごいおもてなし、あたしが行った旅館でもあんまりないよ」


 実は金持ちの家の子で、旅行にもしょっちゅう行っている美桜がそう言うのだから、そうなのだろう。


 旅行の経験があまりない芽依は緊張する。

(ほんとうは美桜だって、親のともなわないお泊りは初めてなのだから緊張しているのだが、ほこり高い彼女はそういうところは見せないようにしていた)


 料理人が女性だというのにも、おどろいた。

(かってに旅館の板前といえば、白い帽子をかぶったおじさんだと思いこんでいたのだ)


 そのお美和という作務衣にマスクすがたの女性は、みずから給仕をしながら少女たちに陽気に話しかけてくる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ