のりことお友だちのお泊り会3
そんな親しくなったのりこに、美桜がなにげなく
「――せっかく旅館なんだから、のりこちゃん家でお泊まり会したらいいんじゃねぇの?」
と言ったのだ。
芽依だと安易にそんなことは言いだせないが、美桜はあまり遠慮するということがない。
とはいえ半分は冗談のつもりだったのだが、のりこはどうやら、とても真に受けたらしい。
旅館への宿泊を了解……それも、ふたりを無料で招待すると言ってきたのだ。
それには美桜も芽依もおどろいて「ちゃんと料金は払わないといけないよ」と言ったのだが、のりこに
「じゃあ、あたしが芽依ちゃんや美桜ちゃんの家にお泊りさせてもらうとき、料金を払わないといけないの?」
と言いかえされてしまった。
のりこはどうも、そういうところがものすごく気まじめだ。というより、まわりに対して気をつかいすぎるぐらい気をつかう性分に、芽依には見える。
転校生というのもあるんだろうけど、いろいろ複雑な環境に育ったせいかもしれない。
(……あたしにはわからない苦労をしてきたんだろうな)
ほがらかなのりこの笑顔を見ると、芽依はいじらしくて抱きしめたくなってしまう。(はずかしいから、したことはない)
とにかくこうして、二人の少女は綾石旅館の宿泊招待を受けることになったのだ。
のりこは美桜と芽依を部屋に案内すると、いったん従業員部屋にもどった。
そして
「――クワク。あなた、さっき肢を出しそうになってたでしょ」
さっそく注意した。
「あいや。あるじ、それは……」
「気をつけてよね!」
男衆グモに言い訳のひまもあたえず、のりこは従業員全体に向かって訓辞を垂れなおした。
「いいね、みんな!今日は、あたしにとってすごーく大事な日なんだから、気合入れてよね!」
鼻息が荒い。




