表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやしの旅館へようこそ!  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

176/350

のりこと純真なお客14

 番頭はうなずくと

「ええ。『ラーマーヤナ』でラーマ王子やハヌマーンに討伐された羅刹王・ラーヴァナの一族です」


「ああ。王子の奥さんをさらったっていう悪い魔王のことね」

 のりこのことばに、ワニは声を荒げて


「なにがわるい魔王だ!わが一党にぬれぎぬを着せおって。この卑劣な侵略者どもめ!」


「ぬれぎぬって……その魔王がお妃をさらっちゃったんじゃないの?」

 のりこの疑問に、ワニはさらに声を荒げて


「そんなもの、ラーマ王子がふっかけた因縁だ!

 われらが王は、森で迷った妃を親切に保護したに過ぎない。それを口実に、無体な戦争をしかけてきおって!」

 挿絵(By みてみん)


 インド叙事詩のくわしい事情など、もちろん知らないのりこにはチンプンカンプンだったが、どうやら両者のあいだには一筋縄ではいかない怨讐おんしゅうがあるらしい。


 メッヒは

「まあ、およそオハナシなどというものは勝者を絶対的な正義として描きますからね。しょせん人間のオツムでは、単純化された正義と悪しか処理できません」


「そんなものかしら?」

「そうです。あなたのお国の『桃太郎』という話だって、鬼サイドから見たら、ただ宝目当てに鬼ヶ島を強襲した侵略者ですからね。

 人間がふりかざす正義や悪の視点は、われわれ悪魔から見ると、かなりいいかげんです……」


 そういうふうに昔話を考えたことはなかった。

 さすがに番頭は「悪」については一家言いっかげんあるらしい。


「われわれ悪魔が行うのは、すぐに『正義』とすり替わる人間の脆弱な『悪』とは次元の異なる純粋な『絶対悪』ですから、いっしょにしないでいただきたい……というだけです」

 みょうなプライドだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ