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あやしの旅館へようこそ!  作者: みどりりゅう


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のりこと純真なお客13

 たしかに腕のうろこはギザギザしてるけども……。


「この娘の腕のうろこは、天女ではなくワニのそれだったんです」

「ってことは……」

「ええ。天女の娘が捕らえられた母の行方をさがしているなどという話は、すべてデタラメです。

 このワニの狙いは、初めからヴァリさまだったのでしょう」


 番頭は、恐怖で目が真ん丸になったまま固まっている古物商に向かって

「失礼ですが、ヴァリさまはインドのお猿でらっしゃいますね。

 それもお名前から推察するに『ラーマーヤナ』に名高きヴァナラ王族のお筋でいらっしゃるかと」

 挿絵(By みてみん)


 そのことばに、猿はふるえながら

「そ、そうずら。おらはたしかにヴァナラ族の末裔だも。

 ただ王族といっでも、おらんはごくごく末で、何代も前からただ商売して生きでるだげだ」


 番頭はうなずくと

「これも世界各地で有名な説話に『サルの生きぎも』という話型があります。『羽衣天女』とおなじくインド発祥の説話とされているものですが。

 この話は、題名どおりワニがサルのきもを取って食べようとして失敗してしまうというものですが、そこにあるとおり、ワニはサルを生きたまま切り裂いて胆をかじるのが大好きなのですよ」


 そのことばにサルはさらに青ざめるが、ワニ……カリアの方は不満らしい。

 口まわりを糸で縛られて不自由ななか、声をあげた。


「ふん!そんな単純なことだとお思いかい!

 あたしがその猿を狙ったのは、そんな食欲からじゃないよ!ご先祖さまのかたきをうつためさ!

 このにくったらしいハヌマーンの血統め!」


「はぬまーん?」


 のりこの疑問に、メッヒは

「ヴァナラ族の有名な英雄神です。

 ――ああ、そうですか?あなた、ラークシャサの一党なんですね?」


「らーくしゃ……?」


 また知らないことばだが、呂洞賓がボソッと

「こっちで言う羅刹らせつだな」

 つぶやく。



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