のりこと黄金の小箱15
どうもおかしいと思ったら、この豹は前歯が一本欠けているらしい。
左の牙がないから空気がもれてことばがヘンなのだ。
よく見ると大蟹のほうも右のはさみがなく、不自由そうにンディクマをおさえている。
「きょんな湿気の多い寒々(ちゃむぢゃむ)ちい所を指定ちやがって……ひょかげで、ちっかり体が冷えちまっちゃ。ぱやく鍵をよこちぇ」
豹男のことばに、クワクはだまって鍵を投げわたした。
「きょれか?しゃんと本物かどうか、確きゃめないちょな!」
豹男は足元に置いた黄金の小箱に鍵をさしこんだ。
「おう!開いちゃ!こりゃ本物だ!」
よろこぶ豹男と大蟹に、のりこがさけんだ。
「ほんものってわかったんだから、その蜘蛛さんをかえしなさいよ!」
「うるちぇっ!ちょんなことより早く……」
と、興奮してふたを開けたケモノだったが
「なんぢゃ、こりは!?カラッポぢゃねえきゃっ!どきょにおれの牙がある!?」
「あたしのはさみは!?」
(――えっ?いったいどういうこと?箱に入ってるのってアナンシの宝じゃないの?
……っていうか、あの蟹はメスなのね!?)
ふしぎがるのりこたちに
「――へへっ。おまえたちのさがしてるものなら、ここにあるぜ」
そんな、サムライにあるまじき下品な口調でわらうのは、となりにいたはずのクワクだった。
いつのまにか、駐車場のくずれたコンクリ壁のすきまから、スーパーのレジ袋にくるんだ「なにか」を取りだしている。




