のりこと黄金の小箱13
「かたじけのうございます――これで盗人どもと、兄を取りもどす交渉ができます。では、さっそくきゃつらが指定した待ちあい場所にまいりましょう」
そう言って黄金の鍵を手にしたクワクが、のりことアンジェリカをつれて行ったのは、かむの川そばに建つ、古い地下型の月極駐車場だった。
のりこはとまどって
「……ここって、こないだの雨で水もれをおこした駐車場じゃない。それで使用禁止になったんでしょ?――ほら、入るなって書いてある」
出入り口にまっかな文字で「立入禁止!!キケン!!」と書かれてある。
しかし蜘蛛の少年は
「そういうところだからこそ、盗人めがひそむことができるのです」
と、ドアをふさぐチェーンをたやすくやぶると、地下の方へズカズカ入っていく。
どうも、以前とちがってクワクは大胆になっている。
前は、こういう得体の知れないところに入るのを一番こわがったのに。
「……だいじょうぶかな?こわれたりしない?」
ついていくのをためらうのりこに、アンジェリカは目をくりくりさせて
「問題はないと思いますわ。かりに天井がくずれたとしても、あるじひとりぐらい、あたしが外に救い出します」
たよりになりすぎる女中にそう言われると、断る理由は少女にはなかった。
クワクのあとをついておそるおそる暗い地下に入っていくと、やはり水漏れはひどいようで、ぽたぽたという音はいまだ止まず、コンクリート張りの地面にはところどころ水たまりができている。
(――もおっ。こんなことなら長靴をはいてくればよかったよ)
ぐしょぐしょになったスニーカーをうらめしく思いながら先に進むと、ただからんと広がる駐車スペースがあった。
わずかばかりの照明のおかげで、なんとか見わたすことができるが、置かれた車は一台もなくさびしいかぎりだ。
そんな殺風景なコンクリ張りのまんなかに、立って待っていたのは




