のりこと黄金の小箱6
「――よく、あたしの前に顔が出せたものだね」
かむの商店街にある雑貨店「魔女の台所 (ヘクセンキュッヒ)」の女主人は、そのただでさえガマガエルがつぶれたような顔をさらにおしつぶした不機嫌な表情で、入店してきたのりことアンジェリカをにらんだ。
クワクは、体を休めるため小さく化けて、のりこの左肩にのっている。
「――へへへ。やっぱり、まだおこってる?」
少女あるじのちょいベロ出しに、魔女はツバを飛ばしてどなりかえした。
「おこるまいか!あたしがあんたたちにどれだけしてやられたと思ってるんだい!?
バクチのかただったあの釜たき悪魔をとりもどされたうえに、そこの高価かった人形までとられたんだよ!おかげで、お茶も自分で入れなきゃならない!」
彼女が怒るのも無理はない。
もともと、アンジェリカは彼女が所有していたからくり人形だった。それを、ユコバックのためにのりこが応じたかけ勝負(に乗じたメッヒの計略)によって、ものの見事にうばわれてしまったのだった。
「しかも持ち主だったあたしのことを壁に張り飛ばしただろう、この恩知らずが!」
きたなくツバをまきちらしてののしる元所有者に対して、かれんな人形はうつくしい目をくりくりさせて
「あら。それはあなたがあるじ(のりこ)におそいかかるからいけないんですわ。自業自得でしてよ」
「うるさいっ!おかげでアゴが外れて、3日間もまともにものが食べられなかったじゃないか!」
「あら。ダイエットになってよろしかったじゃありませんこと?体重がありすぎて動きにくいと、おっしゃってたじゃないですか」
「なんだと!?」
この元主従はもとから仲が良くはなかった。
だからこそ、アンジェリカはなんとかそこからのがれることはできないかとメッヒに相談し、のりこのもとで働くことになったのだ。




