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魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~  作者: 天羽
第1章 異世界への転移編
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第6話 訓練の開始

出雲はありがとうと言うと、美桜が一緒に朝食を食べようと言ってくれた。


「ありがとう。 だけど、学校とか大丈夫なの?」


出雲が聞くと、今日は休校日なのよと言う。明日学校に行って三月中旬から春休みよと言う。


「休校日か……そういうのもあるんだね」


出雲は朝食の一品である目玉焼きを食べつつ言う。美桜も出雲と同じ朝食を食べていた。


「今日は雫から体力トレーニングを受けてもらうね。 魔法が使えるかはそのあと調べましょう」


美桜の言葉に出雲は分かったと返す。そして、運動着に着替えて身支度を整えた出雲は部屋に雫が来るのを待っていた。


「ゆっくりできましたか? では、今日は体力トレーニングを始めましょう」


雫の言葉を聞いて出雲はよろしくお願いしますと返答すると、雫の後を歩いて中庭に出た。


「大きいだろうと思ってたけど、この家っていうか屋敷っていうのかな? 相当大きいよね?」


雫に聞くと、この周囲で一番大きいはずですと言う。出雲が出た中庭の大きさはサッカー場ほどの大きさがあり、中央に大きな桜の木が植えてある。その桜の木はまだ咲きそうにないが、何か神秘的な印象を出雲は受けていた。出雲はその桜の木に触ると、何か不思議な力が身体中を巡った気がした。出雲は雫に呼ばれると、最初の訓練は中庭を十周走り切ることから始めましょうと出雲は言われた。


「苦しいでしょうが、ゆっくりでいいので走り切りましょう」


そう言われた出雲は、走りきるためにゆっくり中庭を走っていく。走って数秒経過すると出雲の脇腹に痛みが走り、走るのをやめようとするも根性だと自身を鼓舞して走り続ける。


「ゲホッ! 吐きそう……でも強くなるためだ!」


出雲は何度も吐きそうになるも堪えて指定された分を走り終えた。そして、雫がタオルを渡してくれて汗を拭いてくださいと言う。


「ありがとうございます! 次は何をしましょう?」


出雲がそう聞くと、雫が今日はここの昼食の時間まで走ることを続けましょうと言う。


「分かりました! 走り続けます!」


出雲は凄く楽しいと感じていた。今を生きている。今自分は生きていると実感していた。


「気を付けてくださいね。 無理しないように休みながらしてくださいね」


そう言い、雫は用事があるからまたお昼ごろに来ますと言った。出雲は中庭に一人になり、言われた通り走り続けた。それから一心不乱に走り続けると、次第に走ることに慣れてきていた。運動という行為を一年間してこなかった出雲にとって、この体力トレーニングは全身の筋肉が喜んでいるように感じた。


「そよ風が気持ちい、運動することが気持ちい、身体を動かすことで生きてる実感がする!」


出雲はしている行為全てが嬉しく感じていた。そして、昼近くまで走り続けていると美桜と雫が中庭にやってきた。


「やってるね! 順調かなー?」


美桜が出雲に小走りで駆け寄って話しかけると、急に走るのを止めた出雲はその場で倒れてしまった。


「ゴホッ!? ゲホッ!? うぇ……」


出雲は突然走るのを止めたので、呼吸が整わないことや心拍数があがっていて気持ち悪くなってしまう。


「だ、大丈夫!? 雫! スポーツドリンクを早く!」


美桜に言われて雫はすぐさま厨房に連絡をしてスポーツドリンクを届けてもらう。中庭に石で来た厨房で働く一人の女性が、慌てて出雲にスポーツドリンクを手渡した。


「ありがとうございます! 美味しい!」


勢いよくスポーツドリンクを飲むと、気持ち悪さがなくなった。


「こんなに勢いよく飲み物が飲めるなんて、最高!」


出雲がそう言うと、美桜が良かったですねと言う。美桜と雫は出雲に休憩をしましょうと言い、手に持っていたランチボックスの蓋を開けて、出雲に食べましょうと言った。


「サンドウィッチ! 凄い楽しみ! 初めて食べるかも!」


出雲が初めて食べると言うと、それを聞いた美桜が今まで何を食べていたのと聞いた。それに対して出雲は雑草とかかなと言った。


「ホームレス時代はそこらに生えていた雑草とか食べてたかな。 初めは闇雲に食べていたからお腹壊してたりしてたけど、周囲にいたホームレスのおじさんとかに聞いて食べれるやつを途中から食べてたかな」


そう聞いた美桜は辛すぎると泣き始めた。


「辛すぎる! 親たちが捨てなければ、愛していれば出雲はそんな暮らしをする必要はなかったのに!」


出雲の代わりに怒ってくれた美桜に、出雲がありがとうと泣きながら言う。雫は二人を抱きしめて出雲には今私たちがいますからと言って慰めてくれた。

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