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魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~  作者: 天羽
第1章 異世界への転移編
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第17話 休憩と涙

「訓練は楽しいです。 もっと強くなって美桜を守れるようにしないと」


出雲は地面に寝っ転がりながら雫に言うと、雫は守っていけますよと返した。それに対して出雲は空を見上げながらありがとうございますと言うと、空を覆うように見知った顔がぬっと出てきた。


「おわっ!? み、美桜!?」


出雲は突然現れた美桜に驚き、変な声を出してしまった。美桜は驚いている出雲に対して驚きすぎだよとと言うと、出雲の右手を取って起こした。美桜は左手にランチボックスを持っており、出雲のお願い通りに料理を作ってくれたようである。


「ほら、こっちで一緒に食べよう」


出雲の手を引いて、木の側にシートを蓮と琴音が敷いていた。美桜が作った料理だけでは足りないので、琴音も料理を作っていたようである。


「さ、皆で食べましょう!」


美桜がそう言い、雫を含めた全員で昼食をとることになった。出雲はこんな風に友達が出来て、楽しく食べれることが嬉しかった。


「あれ? 出雲泣いてるの?」


いつの間にか出雲は笑いながら涙を流していた。美桜は突然涙を流している出雲を見て何があったのか心配になった。


「出雲が泣きながら食べてる! サンドウィッチ美味しくなかった?」


美桜が出雲に再度聞いてみると、出雲がこんなに楽しく友達とお昼食べるなんて幸せでと言った。蓮と琴音は出雲が友達と昼を食べるだけで泣く理由が分からなかったので、昼食べるだけで嬉しかったのかと蓮は出雲に聞いた。


「俺……学校にもあまり通えなくて、親に捨てられて一年間ホームレスしてたから、友達とご飯を食べるのって初めてでこんなに楽しいんだと思ったら涙が出ちゃって……」


出雲の言葉を聞いた蓮はそれは辛すぎると言って泣き、琴音は出雲君を捨てるなんて自分勝手な親ですと泣き始めた。


「二人が泣く必要なんてないから! 今は美桜と出会って幸せだから大丈夫!」


右指でサムズアップをして二人に笑顔を向けると、蓮が出雲の隣に来て肩を抱いた。


「俺たちがいるからもう安心しろ! もう一人じゃないから!」


蓮が出雲を抱いてそう言ったので、その言葉を聞いて出雲は泣き出してしまった。


「お、おい! 泣くなよぉ!」


蓮の言葉を聞いて、出雲はごめんと言って服で涙を拭った。その様子を見ていた美桜と琴音は、出雲がここに来て幸せなようで良かったと思っていた。雫は、落ち着きを取り戻してきた出雲にお茶をコップに注いで渡した。


「落ち着いたようなので、これでも飲んでください」


渡されたのは普通のお茶だが、今の出雲にとっては凄い美味しいく感じたようである。


「美味しいです! ありがとうございます!」


出雲が雫に言うと、私もいますから安心して下さいと笑顔で言ってくれた。


「ありがとう! みんなと会えて良かった!」


出雲がありがとうと言うと、美桜たちは当然と言ってくれた。美桜はさらに出雲の頭を撫でて、ずっとここにいればいいのよと言う。


「居ていいの? 邪魔じゃない?」


出雲の言葉に美桜は大丈夫と言った。


「出雲は居ていいし、全然邪魔じゃないよ。 それに、出雲が来てから私は楽しいし幸せだよ」


幸せだとの言葉を聞いた出雲は再度涙を流してしまう。


「あー! 美桜が泣かせた! いけないんだ!」


蓮が小学生みたいに美桜に言うと、琴音が蓮の腹部を右肘で突いた。蓮は空気を吐き出してその場に崩れ落ちてしまう。


「誰かに俺が居て幸せなんて言ってもらえるなんて……苦しかったけど……生きててよかった!」


出雲が泣きながら言うと、美桜が出雲を抱きしめて頭を撫でる。出雲は美桜の温もりで安心したのか抱きしめ返す。


「ちょっちょっと!? まぁ今はいいか……」


美桜は出雲に抱き着かれたまま数分間経過した。すると、雫がいつまで抱き着いているんですかと出雲に言うと、ごめんと言って美桜から素早く離れた。

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