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【検索除外】「評価者無し」「1:1評価」それくらいでモチベーションを下げる作家に合わせるのは如何なものかという話。

―― 2020/3/3 補記 ――

本日(2020/3/3)「小説家になろう」の評価システムが「一つ星から五つ星で評価する」形に変更になり、それに伴い、「ポイントを入れて作者を応援しましょう!」という文言が評価フォームに明記されるようになりました。本エッセイは基本的に「文章/ストーリーそれぞれに五段階で評価する」システムの時に書かれており、内容がいくつか現状にそぐわないものになっています。


少なくとも、このエッセイで書かれていた「1:1評価をされたら傷つく」とか「読んだら評価しよう」という言葉は、応援という言葉に置きかえると「一つ星応援をされたら傷つく」とか「読んだら応援しよう」という、通常では受け入れられないような主張となります。ですが、そのような無理のある批判を誰かが行い、それが支持されるとは、少なくとも今の自分は考えていません。


過去の履歴としてこのエッセイは残しておきますが、書かれた当時とは前提条件が変わったということは認識して頂いた上でお読みいただくよう、お願いします。


なお、少なくとも現時点では「一つ星応援をされたら傷つく」とか「読んだら応援しよう」という主張がされるようならそれはおかしいと思っていることだけは、念のためここに明記しておきたいと思います。

 ちょっと最近のエッセイランキング、ランキングとかポイントのことで盛り上がっているじゃないですか。で、それを、感想欄も含めて色々と眺めていたのですが。うん、それを見てね、いくら何でも偏り過ぎじゃないかなぁなんて、ちょっと思ったのです。……というかまあ、その偏りが今のランキングを生み出しように感じているのですが。


 私としてはね、積極的にポイントを入れようが作者のレベルが上がろうが、今のランキングは変わらないと思うのです。なろうにはプロ顔負けの作品を書く人だって多くいますし、テンプレ以外の作品を書く人だってたくさんいる。ランキングにそういう作品が少ないのは、そういう作品が無いのではなく、そういう作品が選ばれて無いからだよねと。


 だから、積極的にポイントを入れましょう、気軽に評価しようなんて呼びかけても、「ランキングに乗った作品は」面白くなったりはしないのかなぁと。ランキングの作品を面白くしたいのなら「面白い作品にポイントが入るような」主張をしないと無意味だと思います。


 いや、でも面白い作品を評価するなんて当たり前だよねと、そう思われるかもしれませんが。でも、周りの主張を良く見てみた方が良いと思います。「1:1評価をされたら傷つく」とか「読んだら評価しよう」とか「評価がモチベーションになる」とか「続きが読みたかったら評価しよう」とか、そんな意見の方が多くないですか? これらは全部、面白さとは関係の無い意見ですよね。


 面白いかどうかで評価されたランキングと、面白いかどうか(但し作者の傷つくような評価は除外して一度読み始めたから先も読んでみたいとか作者が頑張るといいなとかいう願望を含んだ評価)で評価されたランキング、どちらの方が「面白い作品が多いランキング」になりますかと、これはそんな話だと思うのです。


  ◇


 誤解されたくないので先に言っておきますが。私は、たとえば感想欄で作者が暴言を吐かれたりするのを容認するつもりはありません。そうですね、今までに何度か「作者はこういうことを言われると傷つくかも」と発信していますし、「後ろ向き、攻撃的、否定的は発言はやめましょう」と言ったこともあります。最近は「指摘が欲しいのなら声を上げよう」と発信しましたが、そこには「指摘で傷つけるのは、それが善意でも互いに不幸な結果になりかねない」という想いがありました。

 荒れた感想欄や活動報告のコメント欄を見るのは嫌ですし、それは礼儀にも反した行為だと思います。見知らぬ相手と言葉を交わすのです。相手を慮りながら交わすのは当然だと思うのです。


 でも、感想欄やコメント欄でそういった主張をしてきたのはね、感想欄というのが基本的に読者と作者とのコミュニケーションのためにある機能で、作者にも批評を求めないという自由はあってしかるべきだと思うからです。作者がそう意思表示をしたのなら、読者もそれは考慮に入れるのが礼儀かなと思う訳です。


 でも、作品の評価って相手を慮ってするものですか? それっておかしくないですか? どうして「感想がいらないのなら感想欄を閉じれば良い」と言う人がいるのに、「1:1評価がいらないのなら評価を受け付けるのを止めれば良い」という人はいないのですか?


――ランキングに乗るために評価を受け付けているのに、1:1評価「だけ」いらないなんていうのはおかしいでしょう。高評価だけ欲しいというのは、正当な評価を欲しているとは言えません。その作者が欲しているのは、評価ではない何かだとしか思えない訳です。


 評価はね、感想欄とは違います。1:1~5:5まで、読者の好きなタイミングで、好きに付けていいものです。それを低評価だけ付けにくくするのは、一種のマナー違反だと思います。そのような主張は、少なくとも作者の側からなされるべきではないと思います。


 ブクマを外したり1:1評価をつけたり、評価そのものを外して立ち去るのも、全て読者の自由です。少なくとも、それが礼儀に反した行為だと、私は思えません。むしろ、「この作者は1:1評価はいらないんだな」と思うことこそ礼儀に反しているように感じます。その見方に敬意がこもっているとはとても思えません。


――評価を受け付けている以上、作者は1:1~5:5、全ての評価を受け入れるべきだと思います。


 まあ、評価しなければ0:0なんだから入れなければ良いというのはあっても良いと思います。でも、それなら「読んだら積極的に評価しよう」という声は上げてはいけませんよね。「読んだら積極的に評価しよう」というのなら「1:1評価でも良いから」という声を付け加えるべきだと思います。評価というのは本来そういうものでしょう。


 1:1評価を付けられて傷つく作者は傷つけておけばいいし、怒る作者がいるのであれば怒らせておけばいいと思います。傷ついた作者が筆を折りたくなったのなら折ればいいと思います。書く自由も書かない自由も作者のものです。私はそこに口出しをするつもりはありません。


 1:1評価は嫌だ、でも5:5評価は欲しい、そんな人はちょっと小説情報を編集して「評価公開」を「評価を表示しない (※ランキングから除外されます)」に設定して、「この小説が合わなかった方は『そっとじ』でお願いします(なお、この小説はランキングから除外しております)」とでも書いてみてはどうでしょうか。そう書いた上でなお1:1評価を付けてくる人は悪意があると断定しても良いと思います。


――ただ、ランキングを算出する上での重要な指標になっている「評価」を、「作者のモチベーション」とか「作者が傷つくから」とか、そんな言葉でどうあるべきか論じるのは、どこか歪んでると思います。


  ◇


 私は良く「ランキングに興味はない」と言っています。そりゃあ、ランキングで上位に位置したって作品が面白くなったりしませんしね。書きたいものを書いて読まれれば理想ですが、今の自分ではそれは叶いません。読まれるように書くのも否定はしませんが、私個人としては、そのために書きたい話のネタを潰したくはありません。そうなると、自然と「書きたい話を書きたいように書く」ことが一番大事になりますよね。


 積極的に評価を入れた結果、「それなりに読める」からとブクマ+3:3評価を付ければ、それだけで8pt、最大評価の2/3になってしまいます。その結果、「ちょっと読みにくいけどズシンとくる」タイプの作品はランキングから外れやすくなります。あとこれは本来の意味での読みやすさとはあまり関係ないと思いますが、そうですね、多分一話あたりの文字数が多い作品もランキングから外れやすくなるでしょうね。感覚的には何となく七千字位からかなと思いますが、もしかすると五~六千字の時点で影響を受けるかもしれません。


 それから、この先面白くなりそうだと思う作品にポイントを入れれば、この先あまり面白くなりそうじゃないと感じるような作品はランキングから外れることになると思います。「面白くなりそうな作品」と「面白い作品」って相当違うと思いますが。


 そうそう、ポイントを入れようが入れなかろうが、エタ率は多分、あまり変わりません。エタるタイミングが変わるだけです。なんでかってそりゃ、応援されたってエタる人はエタりますから。言っておきますがエタるってモチベーションの問題じゃないですよ。エタる人にはそうですね、完結力とでも言うべき「何か」が欠けている場合の方が多いと思います。まあ、その中にモチベーションが入っていることも完全に否定はしませんが。でも、そのモチベーションは「ポイントによる応援」で生まれるモチベーションとは質が違うものだと思います。


 ランキングに乗る作品を面白い作品にしたいのなら、面白い作品にポイントを入れるしかありません。なのに何故か、積極的にポイントを入れましょうとばかり呼びかけて、「面白い作品に」という大切なところを抜いてしまう。さらに「作者が傷つく」だとか「入れないとエタる」とか言い始める。


――今のランキングは、ポイントを入れない人が多いからこうなったのですか? それとも、ポイントを入れる人がこうしたのですか? どう呼びかければ今のランキングは変わりますか? その辺り、ランキングが問題だと感じるのなら、一度本気で考えた方が良いと思います。


 私にはね、「面白い以外の理由で」評価を付けたり評価を甘くしようと作者が声を上げた結果、ランキングに面白くない作品が増えたと、それだけのこととしか思えません。


  ◇


 もう数年も前になるのですが。私はここで、「バード王子の独立記」という長編小説を書き始めました。それまで小説執筆なんてしたことが無かった人ですからね。正真正銘の処女作です。その処女作、最初の段階で十~二十人位の方に読んで頂くことが叶いました。

 途中で作者の方との知り合いもできて、その方から多くの感想と、あと一件だけですが完結時にレビューももらいました。まあ、それで読者の数は爆発的には増えなかったのですけどね。それでも、数字にしか出てこない読者のことも常に意識しながら書き続けました。


 ファンタジージャンルで非テンプレのように人気の出にくい作品を書く。新規の読者獲得が上手くいかない。そうするとね、自然の流れとして、徐々に読者の数は減っていきます。


 その処女作で読者が減ったタイミング、記憶にある限りでは以下の三つです。


・物語中盤に登場したヒロインと主人公が初めて手を繋ぐまでの一年間を、1万字をかけてじっくりと描写した場面。


・物語序盤で主人公たちを助けてくれた協力者が最強の敵として立ちふさがる場面。


・主人公たちが飛行機で敵の都市を攻撃しようとしたときに、大量の水素風船(明記してないけと数万個)で空を埋め尽くして誘爆させるという方法で対空迎撃されたとき。


 ええ、呆れたくなるような場面ですよね。でも、とても頑張って書いたのですよ、どれも重要な見せ場でしたし。私の作品の個性が色濃く出た場面で、これらの場面を抜いたら、あの作品は面白く無いんですよ。違う作品になるんですよ。一番書きたい話なんですよ。


 実際ね、ブクマは減ったのですが、感想を書いてくれるお気に入りの作者さまには好評だったんですよ。それでも、個性の強く出る話には好き嫌いが強く出るのは仕方がないと思うし、そういった場面で読者が減るのも仕方がないと思うのです。


――ええ、何度でも言いますよ。自分らしい話を書けば、好きも嫌いも出るものです。それは仕方のないことです。


 そんな場面が、ブクマが減る、読者が減るなんていう理由で書けなくなる位なら、ランキングになんか乗らなくて良い。それが、私が「ランキングに興味は無い」と公言する理由です。……まあ、気にならないと言えば嘘になりますけどね。それでも、ランキングよりも大事なものがあるというのも、嘘偽りの無い言葉です。


  ◇


 かつて作家は、インターネットもワープロソフトもない環境で書いていました。調べごとは書物か現地に赴くか、あとは取材かな。ペンを走らせ原稿用紙に文字を書いて、広く読まれるためには出版しないといけない。そんな時代です。今のように、簡単に調べごとができたり文体を整えたりなんてことはできなかったはずです。


 優れた道具が能力を底上げしてくれますからね。今は、創作するのにとても良い時代だと思います。ひと昔前のプロ作品よりも優れた、もしくは編集を通すことでそうなるような原石のような作品は、ここには本当にたくさん埋もれていると思います。


――なのにランキングだけを見て「素人が書いてるからしょうがない」って、一体おまえは何を言っているのかと。上手い「非商業作家」なんて、ここには本気でゴロゴロしてるのに。


 まあ「相手は素人だから『評価も』優しく」なんて言っている以上、ランキングも「素人作者にやさしいランキング」になるのは自然なことだし、そう言い続けている限り、ランキングは永久に変わらないと思いますけどね。


 でもまあ、それも良いんじゃないかなあと。もしランキングが正常化したりしたら、かえって本が売れなくなるかも知れませんからね。「ここに来れば面白い本がタダで読めるぞ」って。出版社を通して面白くなると思えるような作品が集まってた方が商売には良い可能性もあります。

 ランキングの作品を見て、「これなら俺にも書けるかも」と思って執筆を始める人も多いと思います。ランキングが面白くなると、そういう作家が激減する可能性も確かに無いとは言い切れません。――結局ね、どうなれば「本当に」良くなるのかなんて、誰にもわからないのです。


 まあ、ランキングに興味のない私には、どうでも良い話なのですが。ただね、ランキングを変えたいと思って積極的に評価を呼びかけている人とそれに賛同する人は、本当に、もう少し真剣に考えた方が良いと思います。その呼びかけは、今まで何度も繰り返されてきて、賛同者も増やしてきたのです。だから、今のランキングは「積極的にポイントを付ける人」によってそうなった可能性というのも、否定しない方が良いと思います。


――というかね、その呼びかけが今のランキングを生んだと考えた方が自然だと、私は思いますけどね。


  ◇


 これまで述べてきたことは、あくまで私の個人的な考えです。ポイントのために書きたい人はそうすれば良いと思いますし、そうやって励ますのも構わないでしょう。ポイントによるモチベーションを大切だよと主張したい人はそうすればいいとも思います。


 ただ、色んな人が受け入れやすい、誰もが良いと思うような論ってね、落とし穴はあると思います。論ずる人がその落とし穴に気付いているかどうかは別として、大抵の場合その落とし穴は「初めからそこにあるのに気付かない」といった感じのものだと思います。評価点をどうつけるかによってランキングの性質が変わる、それは当たり前の話だと思いますが、その辺りどうなのでしょうね。その言葉を外して論ずる人が増えたと、私は思います。


――今、エッセイジャンルを賑やかしている「ランキング論」には大切な何かが欠けている、私はそう思います。

まあ、さんざん「ランキングには興味がない」と言ってる身ですので。今のランキング(特に総合日間)はどうなっているのか、実は私はよく知らないのですが。でもまあ、あんまりな論が横行していると感じましたので、ちょっと書いてみました。


ただまあ、今のランキングがどうであれ、やっぱりね、「評価に対する論は」何かがおかしくなっていると、自分はそう感じます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こちらも素晴らしい論でした。 ありがとうございます
[気になる点] 「続きが読みたかったら評価しよう」は面白いと感じたから続き読みたくなるんだろうし問題ないんじゃないの?(自分は続き読みたいかどうかで付けるか決めてる訳じゃないので指摘するのも変な感じで…
[一言] 面白かったです。 私は、作者さんが評価ptを欲しているのは理解してますが、基準もないのに「評価」するのが嫌で、評価はつけてません。評価と好き嫌いは別物だと思うので、評価すること自体に二の足を…
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