表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/24

0. おはなしのはじまり

 生まれ変わりを願ったことはあるだろうか。

 あるいは、剣と魔法、現実ではありえないファンタジーの世界を?


 私は、どちらもある。


 退屈な日常を脱して、夢と希望あふれる異世界で冒険する日々を、そんな物語を小説や漫画、ゲームで沢山見てきた。そして願っていた。


 ここじゃない、こんなつまらない場所じゃない、私が私らしくいられる世界が待ってるはずだって。


 そして、叶った。


 夢、なんて口にするのがはばかられるぐらい大人になって、忙しい日々にそれこそ夢なんて見てられないぐらいで、でも大人になってしまったからこそ『私らしさ』を誰にも言えないでいた。

 そんなある日、本当に些細な事故で私の短い人生は終わった。終わったはずだったのだ。

 なのに私は目覚めた。


 クレアドール王国。

 剣と魔法が当たり前に存在する世界で、その王立クレアドール魔法学園の女子寮で私の二度目の人生が幕を開けた。

 まさに朝、目覚めて瞼を開くように。

 ……というより、本当に朝目覚めた瞬間、くだらない人生を送っていた『私』と、たった十五歳の公爵令嬢カミリアの人生が溶け合ったのだ。

 私は私を思い出した。


 鏡に写ったカミリアは、少し気の強そうな顔をしていて、でもとびっきりの美少女だ。

 栗色の巻き毛が、ゆるいウェーブを描いて腰まで届く。

 身に着けた学園指定の制服だって、運営を褒めたくなるぐらい可愛らしい。


 でも私は知っていたのだ。


「なんで……なんでよりにもよってココなの……?」


 新緑の可愛い制服も、カミリアの睨みつけると怖い美貌も、私は知っているのだ。


「どうして、私が乙女ゲームの世界に生まれ変わっちゃってるのよ──!?」


 前の人生では誰にも言えないでいた、一番大事な『私らしさ』であり、『秘密』。

 私の記憶を思い出した朝からちょうど一年経って十六歳となった、カミリア・フォン・ウェステリア。

 前世で人気を博していた乙女ゲームでヒロインをいたぶり邪魔する悪役令嬢。


 私は、女の子が好きです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ