時の女神と理想郷
「嬢ちゃん。本当にその金を賭けるのか?」
「ええ、問題ないわ」
とある市場の大広場で、人だかりができていた。まあ原因は私なのだけれど、そんなことはどうでも良い。
「じゃあこの六面のサイコロのウチ、奇数か偶数のどちらが出るか、当てるんだ」
「わかった。じゃあ偶数で」
「おいおい、そんな簡単に決めて良いのか?」
「可能性は半分よ? 考えても無駄よ」
「……へ、わかったよ。じゃあ行くぜ」
男は四角いテーブルの上にサイコロを投げる。コロコロと転がったサイコロは、次第に動きが鈍くなり、とある面を表にして静止する。
サイコロの目は二だった。
「当たりね。じゃあ私の賭けた額の倍を貰うわよ」
「ば、馬鹿な!」
「馬鹿なとは何よ。運の勝負に私が勝ったのよ?」
「そ、それはそうだが……」
私は容赦なく男の腰にある鞄を強く引き、その男の金を巻き上げる。
「足りないわね。この鞄の中の三倍は賭けているはずだけど」
「それは……今はねえんだ。その、少し残してくれねえか?」
「どうして?」
「今夜の宿代はせめて欲しい」
「勝負に勝ったのは私なのに?」
男は苦虫を噛むような表情をする。
周囲を見渡すと、いつの間にか少し人相の悪い男が数名囲んでいた。
「あら、お仲間かしら?」
「へへ、ちょっとばかし『お話を』しようぜ?」
「嫌よ。そういう趣味は持ってないわ」
そう言って。
私はその場から消えた。
「ば、馬鹿な。おい、あの女はどこだ!」
「知らねえ! 急に、え、どうなってやがる!」
男達の悲壮な声がとても心地よい。
そして、サイコロを振っていた男はいらだちながらも独り言を言う。
「ひでえ日だ。昨日に戻りてえ」
それは私の特権である。
☆
この世界には魔術や精霊術というものが存在するが、できる事に限りがある。
火を出したり木々の生長を促したりといった生活に使える術から、物を破壊したり気配を遮断したりする術まで様々だが、唯一魔術では解明できていないモノが時間である。
時間は宇宙全てに依存し、その力は壮大で動かすには神で無い限りは不可能だろう。
まあ、神である私が言うのも変な話なんだろうけど。
そういうわけで、顕現してから時間を操り、最初は神々が沢山住む世界でのんびりしていたのだけれど、正直飽きてきた。
それで、人間の世界に来ては、先ほどのいかさま男を懲らしめたりと、遊んでいるのである。
「人間を懲らしめるのは、なかなか面白いわね」
スキップもしたくなるほどご機嫌な私だが、そんな姿を人前に見せたくも無いので、神々がよく使う『認識阻害』を唱える。簡単に言うと、周りから見えなくなる術である。
「人間は時に魔術とも思える手法でズルをするけど、時間を遅くして見ると、たいしたことをしているわけでは無いのよね」
先ほどの男も。サイコロの目を自由に操れるほどの特技があった。
「さすがに三十回未来を見るのは疲れたけど、良い顔が見れたから良しとするわ」
時間を自在に操るといっても、それなりに限度はある。世界そのものの時間を戻すことも可能ではあるが、その後数百年ほど休憩が必要になるくらい疲れる。
未来を見たり、自分だけ動けるように静止するくらいなら簡単なので、それで遊んでいる。
「時間を止める必要が無いときはこうして人間を観察しているけど、面白い遊び相手はさすがに一ヶ月に一度いるかどうかかしら」
そう言って周囲を見て回って今日も一日平凡に過ごしていると、目の前に見覚えのある男が現れた。
「おい嬢ちゃん。ようやく見つけたぜ」
「あら、うっかり認識阻害を解いてたかしら」
「あの時の金、返してもらいに来たぜ」
「むしろ足りない分を渡して欲しいのだけれど」
「黙れ! あれはお前が何か細工をしたに違いない!」
「いいえ、細工などする時間は無いわ」
ただ、ひたすら手元が狂うタイミングを未来予知しただけである。
「なら、もう一度勝負しろ!」
「いいけど、その前に足りない分を払って貰って良いかしら? これじゃあ足りないのだけれど」
そう言って、私の手にある札束を見せる。
男は鞄の中身を確認し、無いことを確認する。
「お、お前、どうやって取った……?」
「さあ。これは私のよ? それともこれを追加して、もう一度勝負でもするかしら?」
「馬鹿な、前もそうだが、何も見えなくなったり、俺の金が無くなったり、一体何なんだよ!」
「相手が悪かったわね」
「人間が神に悪さをするもんじゃ無いわよ?」
☆
男には精神的攻撃(何度も敗北を味合わせ、借金を増やす)を行い、空を見上げて口を開閉し始めたので、ほおっておいた。
人間というのはどうしてこう楽して稼ごうとするのかも分からない。
まあ時間を止められる私には効率という物をしらないから、共感ができないのだろう。
そんな暇つぶしをしているなか、とある酒場に到着。そういえば人間の世界に来て、まだ酒という物を飲んだことが無かった。
「ここは一つ、飲んでみようかしら?」
酒場に入ると、活気あふれる音楽に踊り。そして楽しく酒を交わす客で一杯だった。
「お、可愛い嬢ちゃんが入店だ!」
「へへ、こっちに来いよ!」
とりあえず適当にあしらい、カウンター席に座る。
「女一人で小ぎたねえ酒場に来るとはな」
この店の店員だろうか。厳つい男がグラスを持って私に話しかけてくる。
「お嬢さん。未成年なら帰りな」
「あら、そう見えた? ありがとう」
「……注文は?」
「マスターのおすすめで」
「ふん」
カウンター裏にある棚から酒瓶を取りだして、コップに氷を入れて酒を入れる。
「海外の酒だ。強いが……まあ『飲み慣れてない小娘』には良い勉強だろう」
この人間、私が酒を飲んだことが無いことをどうやって見破ったのだろうか?
それとも、心情読破……心を読む術でも使ったのかしら?
「まあここで隠してもしかたがないものね。ありがと」
「ふん」
無愛想なマスター。海外の酒と言われた飲み物を置いて、他の客の場所へ行った。
「なるほど。時間をかけて発酵させて作った飲み物なのね。寿命を削ってまで作る飲み物なんて、人間の考えることはわからないわね」
カラカラと氷を鳴らしながら酒を飲む。するとマスターが再度近づいて話しかけてくる。
「その酒はかなり強いんだがな。お嬢さんは思っていた以上に酒に強いんだな」
「そうね。この酒とやら……酒の味を吟味し、思考が混乱する事はまず無いわね」
「これは参った。しかし面白い事を言うお嬢ちゃんだ」
「面白いこと?」
「ああ、この酒は三十年前に作られて、その間空気の管理から製造の道具の入れ替えなどを行ってようやく作られた酒だ。いわゆる人間の寿命を削った酒なんだよ」
「まるで貴方が作った酒の様に語るのね」
「へ、俺は酒を仕入れてそれを売るだけだ。だが、作った人の思いも伝えるのがこの酒場の本質だと思ってる」
未だ人間の感情は理解できないし、この人間……マスターに心情読破を使用しても、話した内容しか帰ってこない。
(心と言ったことが重なる何て、そんなことあるのかしら)
人間の可能性を探求する神も存在するが、もしかしたらこういう所から興味を持つのかしら。
「まあ三十年、この一瓶だけしか作っているわけでは無いのでしょう?」
「ああそうさ。三十年の間に数百……もしかしたら数千の酒樽があるはずだ。だが、この酒に関してはこの一瓶だけなんだ」
「それはどういう事かしら?」
「害虫が湧いたんだ。それのせいで酒樽は殆ど腐った。唯一この酒瓶の分だけは生きてたんだ」
「飲み物に生きているという表現を使うのは面白いわね」
「そうか? 酒は生きているんだ」
「……そう」
人間が時々、物や植物に対して愛着を湧かせる感情を持つという。それも私には理解できない。
ただ、もし人間にしか分からない感情というのが、神にも見破れぬ力だとしたら、それはそれで面白い。
「運が悪かったのかしらね。害虫が湧かない土地で作るべきだったわね」
「それは無理だな」
「どうして?」
「やつらは何処にでも湧く。もしそれが居ない世界が存在するなら、酒売りにとってはこう呼ばれるだろうよ」
「理想郷ってな」
☆
そんなマスターの話を聞いてから、私は人間界のあらゆる資料に目を通した。
天空都市マチュピチュやピラミッド。現在目に見える歴史的建造物に足を運んだけど、特に何も無かった。
「過去を遡るのも疲れるし、数千年だから……考えたくないわね」
神である私でも疲労はある。遡るのは疲れるし、未来を変えた場合はこの世界の神に怒られてしまう。
「目に見えるもの以外だと……」
そんな独り言を話していると、目の前に大きな赤く塗られた建造物があった。
「アーチ。いえ、鳥居だったかしら」
神の通り道。もしくは祭られている神の出入り口。色々諸説はあるものの、人間が作った建造物なのにそれは神の為に作られたと言われている建造物である。
「神が手を貸していない建造物か……」
人間は時に不思議である。普段は科学や知識で様々な困難を乗り越え、弱いのに強い。そんな矛盾な存在が人間である。
「でも、何かしらこの……鳥居は」
鳥居なら今まで何個も見てきた。しかしこの目の前にある鳥居だけは、少し不思議に感じた。
「人気の居ない所は……用心するべきだぜ? 嬢ちゃん」
サイコロの男である。
あれからしばらく経ったと思ってたけど……いえ、時間を止めて色々な場所に行ってたのを忘れていた。
この男にとってはつい一週間前のできごとである。
「また証拠にも無く……今度は何かしら?」
周囲から熱源を感じ、数人ほど鳥居の周囲の草むらに隠れているのを確認する。
「へへ、今日は勝負じゃねえ。お話しに来たんだ」
「お話?」
「ああ、ここらで一つ。俺に金を全て返さねえか?」
「いやよ。それにあの金なら全部使ったわ」
金はマスターに全て渡した。もちろん最初は断ってたけど、時間を止めて金を置いて帰った。
「マジかよ。あれから一週間しか経ってねえぞ? それを全部って」
「ええ。何なら確かめる?」
「ば、馬鹿言うな。お前の体には興味は無え!」
「……何を考えているのか分からないけど、それよりお仲間さんの心配はしなくて良いのかしら?」
「仲間……何を言ってる?」
男が振り向くと、草むらに隠れていた男数名は小さいながらも奇声を上げて苦しんでいた。
「な、何をした!」
「そうね。時間を止めたわ」
「時間……?」
「ええ。人間は呼吸が止まると死ぬと思ってたけど。でもこれは嘘だったわね。だって、苦しみながらも少しの間生きているもの」
呼吸器官の部分の時間を止める。それくらいは簡単である。
「あ、あに、き」
草むらでなんとか声を上げて助けを求める男。
「や、やめろ! なんとかできるなら、今すぐ助けてくれ!」
「じゃあ一つ教えて欲しいわ」
「何だ!」
「理想郷ってどこにあるのかしら?」
「こ、答える! 答えるからなんとかしてくれ!」
「へえ」
神術を解くと同時に、草むらの男達全員が咳き込む。
「がはっ、兄貴、こいつやべえ!」
「逃げようぜ!」
「逃がさないわよ?」
バキッ!
「え、が、がああああああ!」
逃げようとした人間の足を折る。
方法は簡単で、時間を止めてその男の足を殴るだけ。まあ私にしかできない方法である。
「お、お前、今どうやってそっちに移動した!」
「私はそうね、魔法使いなの。だからこれくらい簡単なの。さあ教えて頂戴。理想郷がどこにあるのか」
「く、狂ってやがる?」
「ん?」
「なんでもねえ。その、そこの鳥居の中だ! そこを進んで奥の神社に入り口がある」
「あら、以外に近い所にあるのね」
「そ、そうさ」
「ちなみになんだけど」
時間を止めて、男に近づく。
そして時間を動かす。
「私はこうして時間を止めて移動ができるの。その鳥居の奥を確認する間は時間を止めるわ。逃げることは不可能よ」
「な、馬鹿な!」
ごまかしている事くらいは心を読む神術で分かっていた。でも無間にある時間。この男の戯れ言に付き合ってあげようかしら。
「じゃあ、次に戻ってきた時は、あなたは死んでいるか、生きているか。どっちかしらね」
「や、やめてくれ……やめてくれええええ!」
そして時間を止めて鳥居に入る。
鳥居の奥に理想郷が無いと思いつつ入る。
そして私は。
この世界から別な世界に飛ばされた。
☆
予想していなかった。
まさか本当にあの鳥居が何かの入り口だったなんて。
周囲を見渡すと、広い丘が続いていて、そして山が見える。先ほどまでいた場所とは景色が違う。というより、文化が無いと言うべきだろうか。
「あれはニホンオオカミ? 確か文献では絶滅したと思っていたはずよね」
「そう。だからこの世界に存在するのよ」
気配は全く感じなかった。というより、わからなかった。
後ろから少女の様な声が聞こえる。
「あら、この世界の管理人と言ったところかしら?」
「貴女が来て良い場所ではありません。時の女神クロノ。どうやって来たかはわかりませんが、ここは私達の聖域です」
「私の正体まで知っているとはね。別に危害を加えるつもりは無いのよ。本当に間違って入った。そう言うべきかしら」
「信じられるとでも?」
そんなやりとりをしていると、もう一人少女が目の前に現れる。
「失礼しますね」
「っ!」
触れられる寸前で時間を止めにかかる……が、時間が止まらない。なるほど、ここは聖域というのは本当らしい。
「カナイ。この人は嘘を言ってないわ。間違って入ったというのは嘘だけど、危害は本当に加えないみたい」
「……ふーん」
カナイと呼ばれた少女から魔力の気配が薄れる。
「カナイ……なるほど。私に心情読破を使ったのはニリヤかしら?」
「……そうよ」
理想郷というのは人間が勝手に作り上げた物語。もしくはここへ何か間違って入った人から発せられた言い伝えだろう。
「つまり、ここは『ニライカナイ』ね。理想郷という言葉に少し惑わされたわ」
「ここは精霊の聖域。いくら神の貴女でもここを害することは許されないわ」
「この世界の神が罰を与える」
「知ってるわよ。この世界には旅行で来ただけですもの。数百年ほどね」
「なら何故ここに来た?」
何故。そう問われるのに答えが出ない。なぜなら、ただ来ることだけが目的だったからである。
「そうね。ただ来たかっただけ」
「……なら、早く出て行って欲しい。動物たちが脅えている」
「そうしたいけど……」
帰り方が分からない。そう言おうとした瞬間。
「簡単よ。消滅すれば良い」
ニリヤと呼ばれている少女がぼそっと言う。その瞬間、地面が少し動き出す。
「!」
油断はしていなかった。だからこそ助かったというべきだろう。
時間を止めることは不可能でも、自分自身は時間を早めることができたため、瞬時にそれを実行。地面から突如生えて来る土の針を避ける。
「危ないわね。何を考えているのかしら」
「カナイ。落ち着いて」
「無理。そもそも時の女神が来ると言うことは何かの前触れ。見逃せない」
「だから落ち着いて。聖域でも神には勝てない!」
「ニリヤは黙ってて!」
どうやらこの姉妹? は大変仲がよろしいようで。
「早く消えろお!」
次々生えてくる土の針を避けつつ、対策を考える。
時間を止めることはできないけど自分を早めることは可能。神には勝てないということはこの聖域の守り神と言われているニリヤとカナイは、実は精霊だったと。
「それにしても、姉か妹かわからないけど、どうにかならないの! 戦う意思はないんだけど!」
「っく! カナイ! もう『あんな世界』とは違うの!」
あんな世界。気になる単語である。
「うーん、ちょっと気になるし、覗かせて貰うわよ」
そして自分に対して時間を早め、カナイに近づく。
「え、ちょ」
「大丈夫、消滅させるほど狂ってる神では無いわよ」
そう言って額に手を当て、神術を使う。
心を読む『心情読破』と、私のみ使える時間を操る力を合わせた過去を見る別な力。それを使ってカナイの考えを読む。
「カナイ! やめてえええ!」
ニリヤの周囲に突如細い木々が生える。それがムチとなって私に襲いかかる。
「ちょっと落ち着きなさいよ」
ムチが当たる瞬間、ムチは一瞬で茶色に染まり、粉々に粉砕する。
「な、何を!」
「時間を奪っただけよ。それよりも……なるほど」
カナイの考えを読み取り、そして私の考えを送る。
「カナイ。私の考えは分かって貰えた?」
「……ええ。嘘偽りの無い考えを相手に伝える神術。『真実心言』で聞き取ったわ」
「それは良かった。それで、私は帰れるのかしら?」
「……ええ。それよりも」
「わかっているわよ。この話は今は口に出さないでおくわよ」
カナイに私が本当に危害を加えるつもりが無いことを伝え、帰る手段を探している事を先ほどの神術で伝えた。こういうとき神術はとても便利である。
「ニリヤ。この神は本当に何もしない。出口を作ればすぐに帰るわ」
「……カナイがそう言うなら」
さっきは聞き分けが無かったのにと突っ込みたくなる。精霊にも感情的になる部分があるのだろう。
まあ、最初から精霊だったらこういう感情は持たないのだろうけど。
「では時の女神クロノ。この出口から帰ってください」
カナイが木のアーチで出口を作る。
「手間をかけたわね。もしまた来てしまったら、今度は少しお話でもしましょう」
「……この世界の平和の為に、来ないでください」
「はいはい」
そう言って、私は出口を出た。
☆
「マスター。珍しい物を拾ったんだが、見てくれるか?」
酒場が閉店する間際。一人の客が一冊の本を持ってきた。この客、確か最近まではイカサマで金を稼いでいたけど、急に更生して今は普通に働いているんだとか。
どんなきっかけがあったか、知りたいもんだ。
「本はあまり得意じゃねえ。眠くなる」
「いやね、それが数ページしか書いて無いんだ」
「ん、変な本もあるもんだ。『理想郷体験日記』? 変なタイトルだな」
そういえば数年前にここに来た客と理想郷があったらなーという話をしたのを思い出す。
たった一日しか話していないのに、何故かその日の出来事だけは覚えていた。
ー理想郷を守りしモノー
神ではなく精霊である。またその精霊は元々人間であり、人間の時に苦しい過去を味わい、精霊となって姉妹は再開した。
戦争も無い、文明も無い世界を作ることで苦しみは無いと感じた二人は、精霊ながらも独自の世界を作り上げる。
それが人間の言い伝えの理想郷であった。
ー理想郷体験日記 著者クロノー
「変な本もあるもんですね」
「そうだな。しかし良く見つけたなこんな本」
「ええ。これは俺が生まれ変わった場所……ある場所に落ちてたんです」
「へえ、不思議なもんだな。もしかしたら、その場所が理想郷の入り口かもしれんな」
そんな他愛も無い会話をして、今日を終える。
時間というのはあっという間で、あの理想郷の話をした少女は今頃何歳になっているだろうかと思い、今日を終えるのだった。
いとです。
毎度一つ挑戦を掲げて短編を書いており、今作品は「主人公についてそれほど詳しく書いていない」という部分でどれほど表現できるかを挑戦させていただきました。
容姿や年齢(そもそも年齢がある種族ではない)や、もちろん時代背景もそれほど書いていない中で、でもこういう表現をしたい! という感じですね。
でもあとがきなので補足をー
舞台はマチュピチュを出したのでもちろん地球です。ニライカナイに関してはウィキペディアに出てくると思いますが、この作品とは一切関係ございません。また図書館等でも色々書籍は出ていると思いますが関係ありません。ニリヤとカナイも関係ございません。
連載作品とは作風がことなるので、ちょっと大変でしたが、楽しんでいただければ幸いです。
それでは、また!