ミハルとチヒロ
ミハル「あなたがミハルのパートナーになったんだね」
チヒロ「パートナー?なんのだい?いや、そもそもここはどこだい?」
ミハル「…なんにも知らないんだ」
チヒロ「残念なことに何も知らないよ」
ミハル「ミハルはミハル。ここであなたと一緒に、ここの施設にいる人たちを皆殺しにするためのパートナー」
チヒロ「おやおや、随分物騒なことを言うね」
ミハル「だってそうしないとミハルはココロが手に入らないんだもん。ナギくんもミツくんも持ってるのに…それに、ねぇ、あなたも死にたくはないでしょ?」
チヒロ「まいったなぁ…確かに死にたくはないなぁ」
ミハル「なら、協力して。あなたを殺させない。そのかわりミハルのお願いをかなえるために手伝ってほしいの」
チヒロ「お願いって、ココロがどうとかっていうやつかい?」
ミハル「うん。ミハルね、ココロが欲しいの。それでね、外にいる人たちと暮らすのが夢なの。楽しいとか嬉しいとか、たくさん知りたいの。そのためにも皆を殺さないといけないの」
チヒロ「心、か…」
ミハル「あ、でもでも、ちゃんと手伝ってくれたらあなたのお願いも叶えてくれるよ。あなたのお願いはなぁに?」
チヒロ「僕のお願い、かぁ。そうだねぇ、君に言ったら怒られちゃいそうだな」
ミハル「怒る?ミハルが?」
チヒロ「うん、君のお願いと真逆だからね」
ミハル「…あなたはいらないの?ココロ」
チヒロ「うん、いらないなぁ…」
ミハル「ねぇ、いらないならちょうだい。ミハルに、あなたのココロ」
チヒロ「あぁ、いいよ。あげられるのなら全部あげる。でも僕の心は汚いからなぁ、君にあげるには少し失礼かもしれないね」
ミハル「…ずるいな。ずるいよ、ミハルがずっと、ずっとほしくて探してたのに…なんで、いらないあなたにあって、ミハルにないの…?」
チヒロ「…君が思うような綺麗なものばかりじゃあないよ、心なんてものはね」
ミハル「でも、ココロがあるからヒトは美しいんだって、本にも書いてあるよ?」
チヒロ「そうだねぇ…心はお月様と同じなんだよ」
ミハル「おつきさまと、おなじ…?」
チヒロ「ふふっ、君には少し難しかったかな」
ミハル「きみじゃないよ、ミハルだよ」
チヒロ「あぁ、レディに君呼ばわりは失礼だったね。ミハル、うん、いい名前だ」
ミハル「えへへ…ミツくんがつけてくれたんだぁ」
チヒロ「そうかい。そのミツくんっていうのは兄妹かなにかかい?」
ミハル「ミツくんとナギくんはねーミハルよりちょっぴり早く造られたドールだよ」
チヒロ「造られた…?」
ミハル「うん。…あっ、まだ説明してなかったっけ!ミハルもこれから殺すうちの半分もドールなんだよ」
チヒロ「へぇ…人間そっくりじゃないか。驚いたよ」
ミハル「でしょでしょ!」
チヒロ「でも名前を付けてくれた人を殺すのかい?」
ミハル「ミハルもミツくんもナギくんもお互いに殺すつもりだよ?みんな叶えてほしいお願いがあるからね」
チヒロ「大事な人を殺してまで叶えたい願いが、三人にはあるんだね」
ミハル「…悲しい?」
チヒロ「え?」
ミハル「ミハル、知ってるよ。本当は誰かを殺しちゃいけないんだよね」
チヒロ「…うん、そうだね。殺すのはいけないことだ」
ミハル「でも、でもね、殺すのはミハルだから、あなたは誰も殺さなくていいの。ただわたしバカだから、助けてほしくて…」
チヒロ「…ねぇ、ミハル」
ミハル「なぁに?」
チヒロ「外に出たら僕と一緒に暮らさないかい?」
ミハル「え、いいの?」
チヒロ「あぁ、ミハルさえよければね」
ミハル「うん…うん!一緒がいい!」
チヒロ「よし、じゃあ約束だ。僕のお願いはミハルと一緒に暮らすこと、だね」
ミハル「そんなことで、いいの…?」
チヒロ「あぁ、それがいいんだ」
ミハル「じゃあ、一緒に戦ってくれるってこと?」
チヒロ「うん、そうだよ。よろしくね」
ミハル「うん!よろしく!えっと…」
チヒロ「あぁ、ごめん。まだ名前を教えてなかったね。チヒロだよ」
ミハル「ちひろ…チヒロ!ありがとう!」
レイ「なんとも微笑ましい。おっと、そろそろ皆に私の自己紹介やルール説明をしなくては…」