表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/8

第6話 「力なき者」

バトルの最中にナイスタイミングで割り込んできたカーマイン先生。彼はかなりの魔法の使い手らしく、それは国の賢者クラスらしい...とのこと。彼の素性は今後!


今回もドタバタしてますがどうぞよろしくお願いします!


「琉生の幼馴染...?」


リタの返答に琉生はこくりと頷き、辺りが沈黙と化した。クレトの探している人物・茉莉は彼の幼馴染であったという。


「あいつは...行方が分からなくなっていたんだ。確か小学...コホン、6、7歳の頃までよく一緒に遊んでいた」


--俺がこっちの世界の人間じゃないってバレるわけにもいかないしな。


「んで?茉莉がどうかしたのか?」


「...分からないが、彼女が立ち去った日にこの手紙が残されていたんだ」


クレトが取り出した手紙には琉生にとっても見覚えのある封筒と置き去りにされたブローチと同じ文様の刻印が刻まれていた。


--まさか...俺の足を治してくれたあの子と茉莉は似ても似つかなかった。第一茉莉は銀髪だったわけじゃないだろうし...


その手紙に手を伸ばしたその時、大きな地響きが起こった。とてつもない音と同時に、地面に吸い寄せられる。まるで魔力を吸い取られるような、強大な何かが地底にある。


「立ってられない...!何なのこれ...」


「こりゃまずいな...常世の月が引き起こす天災の合図だ。最近平和だったから忘れてたぜ。向こうの奴らも避難させないといけねーから、このバトルは中止な。」


少し地響きが治ると直ぐにカーマインが生徒達を誘導させるべく、小さなノーム達を案内係として召喚した。琉生達は先生の指示に従って歩き始める。


「あ...クレトさん?」


アメリアがクレトに声をかけるが、反対方向を向いたまま、元の場所を動こうとはしなかった。彼女は少し彼のことが怖いようで、警戒した態度をとることが多かった。


「...あの日と同じだ」


クレトはそう呟くと、灰色に染まりゆく空の果てへ飛んで行った。琉生もまた、彼の異変に気付き、避難の列から離脱する。


「クレトを追いかけてくる。あいつを連れ戻したらすぐに戻るから」


「琉生...」


--前はあんなカッコいい事言わなかったのになぁ。ヘタレな琉生君も可愛かったけど...。


アメリアがふと考え込んでいると、たまたま同じことを考えていたリタと目線が合い、お互い気まずい気分になった。良からぬ勘違いなどではなく、ほぼ確実にお互いが認識した。恋敵であることに...。



琉生は足に炎を巡らせながらも、足のつま先部分に重点的に炎を行き渡らせることで飛ぶことができた。


「んーやっぱ便利だな魔法って!俺の血の滲むような努力がついに報われたって感じか...ああ!やっぱ神様っているもんだなぁ!結構クレトと渡り合えてたし、魔法の出来も上々だぜ」


一人ぶつぶつと呟いていると、空に飛行機雲のようなものがうっすら浮かんでいるのが目に入った。その割には勢いよく、そして荒々しい軌跡であり、クレトの魔力の痕跡であると認識した琉生は、その軌跡を辿って山々を超えて行った。


あたり一面の空は夕空というには黒かった。橙色のはずの空は灰色に染まり、その灰色の空ですらもすっかり真っ黒になっていた。星空が広がるはずの空には何一つ浮かんではいなかった。


「んー軌跡すら見えづらくなってきた。あ、あれクレトかも」


足に灯る炎が辛うじて彼の視界を照らしてくれていた。断崖絶壁の奈落の底へ足を踏み入れると、怪しげな洞窟への通路が広がっていた。恐る恐る足を踏み入れ、短剣を片手に携えながら奥へ進んで行くことにした。


「っ...があぁぁぁあ!!!来るな!!!」


「!!」


ふと琉生が足を止めた先には紫色の龍のようなものが巻き付けられているクレトの姿があった。そして足元には巨大な魔法陣が6つ、彼を覆うように描かれていた。


「待ってろ、そこから助けてやる」


「ちが...う!これは...俺が課した呪い...だ。呪いには呪いで抑え込むしか...ない」


琉生は彼の言葉を無視して炎で魔法陣を撃ち破ろうとするも、びくともしなかった。


「これどう見ても危険だろうが!早くやめろ!」


「そうだねぇ、本当に危なっかしいよ君」


琉生の背後から現れた黒いマントを羽織った謎の青年はそう呟くと、琉生を素早い斬撃で押しのけた。その動きに反応しきれなかった彼は腹部に直撃した後、洞窟の奥へ吹き飛ばされた。


「がはっ...」


「見てられないんだよね。魔力は申し分ないほど持っているのに、使い方も分かっていない上に全然センスがない」


琉生には目もくれず、クレトの魔法陣にするりと介入した。


「僕さ、正当な魔術師じゃないから詳しくはないけど...体内に他人の魔力が入り込んだりすると、相性が悪い場合、命が危ないって聞いたことあるんだよねぇ」


「!!」


身動きの取れないクレトの体内から溢れる魔力を手に取るようにつかみ出すと、彼は自身の魔力を注ぎ始めた。


「僕の属性...毒なんだよねぇ」


「うわぁぁぁあああああ!!!!」


「...苦しいでしょう?でもごめんね、君を綺麗な状態で倒すにはこれが一番なんだ。光の御子は一人残らず消さないと今回の任務に差し支えが出るから...ね!!!」


青年はくすくす、と笑いを浮かべながらもどこか冷酷で残忍な表情であった。琉生はぼんやりと意識を取り戻した時にはその青年の姿はなく、うつ伏せで倒れ込んでいるクレトの姿があった。侵食された魔力の部分を無理矢理切り離したせいで、身体は深く傷ついていた。


「俺たち...自分の身すら守れないなんて...無力すぎんだろ...」

光の御子とされるクレトの正体とは?これから起こりうる悪夢に琉生達は立ち向かえるのか...!波乱必至の次回更新をお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ