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第三話 勇者判定

ちょっと地の文多いかな

そうでもないかな

 明くる日、おれ達は再び昨日の部屋にいた。しかし今日は国王夫妻だけでなく、他にも人が集まっていた。


「おはようございます。昨晩はよくお休みになられましたか」


 初めに国王様がおれ達に声をかけた。


「はい、とても。おもてなしに感謝いたします」


 実際、用意された部屋のベッドはとても寝心地が良かった。突如非日常に巻き込まれたことで眠ることができるか怪しかったが、横になって間もなく寝入ってしまった。


 ……しかし、学生時代も色々な出来事があったが、それが原因で眠れなかったことはなかったように思う。だからベッドが違っていても変わらなかったかもしれない。


 ちなみに、昨日は最初に一部屋に集まっただけで、部屋は男女別に用意されていた。


「それは何よりです。さて、今日は勇者判定をさせていただきます」


 昨日も思ったが、一国の王だというのに、おれ達のような凡人に対してえらく丁寧な態度である。勇者というのはそれ程までに特別な存在らしい。


「勇者判定って、私達は勇者として召喚されたんじゃ……?」


 おれ達の疑問を声にしたのは主計さんである。道祖君も頷いて同意を示している。


「申し訳ありません、重要な説明をしておりませんでした。私としたことが、儀式の成功に気が逸ってしまいまして……」


 確かに、昨日の王様は勢いがよかった。そのせいもあって、昨日の話は大まかなこと以外みんな忘れてしまった。この国や王様の名前など、固有名詞の類なぞ一つも頭に残っていない。


 そんなことはどうでもいい。勇者判定についてである。

 王様曰く、召喚された者が必ずしも勇者だとは限らない。異界からの召喚とは、どれだけ入念に準備しても常に不確実性があり、そもそも召喚に成功するかどうかの段階で不安が残る。

 そして召喚自体は成功しても、現れた者が本当に勇者なのか、という点でまたしても不安が残るそうだ。


 以上のような説明を受け、勇者判定とやらをされることになった。判定を行うのは、この国の国教の神官殿らしい。

 

「……結構な綱渡りだな……」


 一君の呟きが耳に入った。その通りである。そんな博打をしてまで勇者召喚を行う意味はどれほどのものなのか。言い換えれば、魔族とかいう連中はそこまでしなければならないくらい邪悪なのか、ということになる。


 ――――今おれは何気なく博打と表現したが。ならば、この場合賭け金は何になるのか。ふとそんなことを考えた。





 判定の結果、おれは勇者ではなかった。神官殿から結果が告げられた途端に、この国の人間達がこぞって落胆した表情になった。外国為替証拠金取引で預金を全て失ってしまった知り合いが、こんな顔をしていた。


「……ああ、……ソウカ様……あなたは……」


 王様はしばし茫然としていたが、やがて吐息のように言葉を出した。その時、ほんの一瞬ではあったが、確かに憤怒のような色が見えた。

 甚だ心外である。

 周囲に視線をやると、先刻まで期待していた顔に、落胆どころか軽蔑の色を載せる者までいた。それも一人二人ではない。

 勝手に呼びつけて勝手に期待して勝手に軽蔑するとは、随分と失礼だと思う。


 まあ、そんなことはどうでもいい。勇者ではないのなら、戦に駆り出されることはない。それが全てである。

 おれはそんな安堵に浸った。

お休みになられましたかとか、この国の国教とか、文法的に正しいのかわからなくなってきた

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