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能力喰いの少女  作者: ちびすけ
召還編
29/40

26話


 それから更に時が経ち――。



 野戦訓練の日まで、残り一日と迫っていた。

 それまでの間、普通の勉強の他に野戦訓練で放たれる魔獣の生態や倒し方をシンディーと一緒に勉強したり、光樹の森で脱落しないようにするにはどうしたらいいのかと、クラスの皆で話し合ったりして過ごしていた。

 皆と、随分仲良くなれたと思う。

 アシュレイとは、まだあんまり話せていないんだけど……嫌われてはいないと思いたい。

 皆が言うには、昔から誰に対してもそっけないんだって。

 私は誰かと仲良くなろうと積極的に近付く人間じゃないから、無理に話し掛けたりもしてない。

 いつかアシュレイとも仲良くなれたらいいな、とは思うけどね。



 そうそう、エルス教官との戦闘訓練もだいぶ慣れたものになってきていた。



 この短い期間で、ある程度の護身術はマスター出来た――と思う。

 覚えが早いとエルス教官に褒められて嬉しかったけど、見た感じへらへらして弱そうに見える教官には未だに一度も勝てず、ボロクソにやられちゃうけどね。

 今日も教官に個人指導をしてもらっていたけど、明日は野戦訓練当日と言う事で、早めに終わったのがちょっと嬉しい。

「ルイも能力の扱い方がだいぶ慣れて来たね。後は野戦訓練で今持っている力を出し切るようにすれば、無事に乗り切れると思うよ」

「本当ですか? 最後まで残れるように頑張ります!」

「頑張って。それじゃあ、僕も明日の準備があるから戻るよ」

「はい、ありがとうございました!」

「うん。それじゃあ、また明日ね」



 手を振りながら教室を出ていく教官に頭を下げつつ、私も帰り支度をする。



「いたっ……うぅ~、教官って本当に手加減してくれないんだから。また腕に痣が出来ちゃってるよ」

 床に落ちていたネクタイを拾った瞬間、手首が痛む。

 服を捲って見てみたら、大きな痣があった。

 今まで気付かなかったけど、手首の一部が赤紫色になってる。

 うわぁ……凄い色、痛い筈だよ。



 このままの状態で寮に帰れば、シンディーに又こんな痣を作って! と怒られる事間違いない。



 確か『治療者』として保健室に行っていたのは昨日だったから、今日はシンディーはいないはず。

 よし、ここは保健室に行って治してもらってから部屋に帰ろう。

 善は急げと、私は乱れた髪の毛を手で整えてから教室を後にした。






 保健室には何度か行ったことがある。

 もちろん、シンディーが保健室で怪我をした生徒達を治療している日と、廊下のど真ん中で倒れているシリルを見付けて運ぶ時だけに限るけど。

 元の世界の学校の保健室と同じで、ここの保健室も白を基調としている。

 室内は消毒液の匂いがしていて懐かしく思った。

 ただ違うのは、ここは病院かと思えるくらいベッドや椅子の数が多い事くらいかな。

 暫く廊下を歩いていたんだけど、明日野戦訓練の本番だからなのか、あまり人と出会うことが無い。

 廊下の外を見ながら、明日の天気はどうなんだろうと思いながら歩いていた時。



「こんにちは」

 


 進行方向から歩いて来た、白衣を着た青年に声を掛けられた。

 瞬きしながら顔を上げれば、優しそうな顔をしたお兄さんが私を見て微笑んでいるではないか。

 えっと……どこかで見たような?

 誰だっけ? と思いながらも、日本人の得意分野でもある『笑顔』を素早く貼り付け、「こんにちは」と挨拶する。

 すれ違いながらお互い笑顔でお辞儀をし合って、通り過ぎる。

 暫く廊下を歩きながら首を傾げていたんだけど、保健室のドアが見えて来た時に漸く思い出した。



 そうだ、保健室の先生と一緒にいたお兄さんだ。



 保健室の先生――エルス教官を毛嫌いしていたシシリー先生のそっけない態度が頭の中に浮かぶ。

 その後ろで申し訳なさそうにしていた、あのお兄さんだ。

 そう言えば、いたなぁ……。

 でも、あれ以来会った事が無かったから、すっかり忘れてた。

 そんな事を思いながら歩いていたら、保健室の入り口へとたどり着く。

 ドアをノックして、失礼しますと言いながらノブを回すと。

「……あ」

 保健室の中には、先客がいた。



 驚いた表情でこちらを見るアシュレイと、目が合った。

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