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その日も、いつもと変わらない一日だった。
お母さんが作ってくれた朝食を食べながら、お父さんやお母さん、それに今日は仕事が休みだから一日中ダラダラしていると宣言していたお姉ちゃんと、楽しく喋っていた。
ただ、今日は日直になっていたから、早めに学校に行かなきゃいけない。
時計を見れば思ったよりも時間が過ぎていたから、ガツガツとご飯を口の中に詰め込み、急いで食べ終え慌てて家を出る準備をする。
「瑠衣、忘れ物だよー」
「あ、やっばーい!」
玄関で靴を履いている時、お姉ちゃんが持つのを忘れていたお弁当袋を持って来てくれた。
両手で受け取り、ありがとうと言いながらドアに手を掛ける。
急がなきゃ遅刻しちゃう!
「走ると転ぶよ!」
「大丈夫ー」
「行ってらっしゃい。気を付けてね」
「は~い、行ってきまーす!」
お姉ちゃんに手を振りながら、私は家を出る。
それが、私が家族と過ごした最後の日となった。