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Life
きみがいない 奇妙さを
かかえながら いきてる
熱が冷めた だけ
欠けていく 質感
泣いてしまいそうな のに
いつまでも泣けない まま
白く光る
月を見て いる
きみだけがいない
日常に押し潰され
歩く地の不確かさ
哀しみと言えた
ならよかった
蜘蛛を逃がす手つき
蛍舞う川べり
息をのむほどの暗闇を
ふたり歩いたね
断層がずれるように
わかれてしまった
道の果て
さよならは似合わないから
またねって
わたしに告げた
同じ夏は来ないのに
太陽に焼かれると
陽炎のようだ
ありもしない水を追う
水を乞う