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亡郷
そばにいて
離さないで
簡単な言葉さえ
言えなかったね
さらさらと流れていく
軽い音楽みたいに
笑ってた
思ってたより
ずっと
大切だった
幸せだった
無理矢理
好きになった
新しいものは
私を彩らなかった
生活という生活から
ヒビが入って
ポロポロと崩れていく
綺麗な外壁
傷跡を覆った世界
足の置き場がないのに
微笑まざるをえない
誰、なんだろうね
小さなズレを
見ないフリして
ふわふわと集う
嘘にすがっている
だけかもしれない
白い花を焼き捨ててしまいたかった