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哀傷
足音を失った
美しい影
君の爪先から
光が散って
静けさの内の
祈りを乞う
朝陽も夕陽も
ただあるだけの孤独
なのにどうにも
独りにはなれないね
花が咲くように
子供たちが駆け回る
白い骨の街だけど
君たちは自由だ
まだ
甘い消耗が
呼んだ胡蝶
戯れの恋が
尾を引いて
月の皓さに
霞んでゆく
あなたも、と呼びかけて
風船を飛ばしていく
感傷の水面を渡りながら
誰かの波紋を振り返る
浮き上がる想い出に
薄れた面差し
とうとう、
死んでしまったみたいだ
霧の中に消えて