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いつかの春を
どうしてもというとこがないんだ、と
君は言って
だから手を離せてしまうんだね、と
私は頷いた
辛くても
今までずっと手離してきたから
今はもう
辛くないんだね、と
心に秘めた
別れの度に
これぎりのように
惜しむのは
それで本当に別れた
過去があるから
切ないし
悔しいけど
仕方ないね
たぶんその方が
永遠に近いのだと
微笑を浮かべた
*◯*◯*◯*◯*◯*◯*◯*
涙を浮かべた君を
それまで見たことがなくて
それで
本当に終わりなのだと
心に刺さる
諦念が破れなくても
永遠に刻んでいるだろう
零れ落ちる、最後の一瞬を