前へ目次 次へ 5/130 歌集《彩夏》 口紅の色問う人の心内かすめた笑顔わたしも返し 夏の夢うなじにのぞく藍なくば君が扇子を盗みざらまし 合宿か走る男子の叫び声休みの朝を切り裂いて青 独りゆえ夜明の嵐の恐ろしさ布団で誤魔化し歌って誤魔化し 旅もせず病に伏せる盆の日々友の便りに飛んで馳せて… 戦呼ぶ人の呪いの満ち欠けはただ喪失の学びによりて ふるさとと呼ぶ地もなくて渡る街訳知り顔のカフェラテ一つ 鱧に茄子並ぶ小料理先達の意地を見にけり納涼会 恋のあと拭う秋口茜色羽織るコートの色新しく