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夢に消えて
泣いていた誰かのために
詩を書いたのだけれど
宛先を失ってしまった
日々の暮らしの中で
「あなた」が薄れて
吐息に変わる
君と見た月のことを
もう思い出せないや
急に冷たくなった世界
どうにでもなるけど
どうにもならないね
雫の煌めきが目を焼いて
たぶんとか
いつかの話を
繰り返している
■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
かすかに見えたような
そんな気がしたのにな
原形を超えた街で
誰なんだろうって
問い合ってる
死人の群から
切り取られて
与えられた白
別に君じゃないって
嘯いてしまったんだ