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平成二十九年彼岸にて
秋を歌う花よ
悲しんでおくれ
のどけさの隅に
戦の影があるのだ
秋を紡ぐ虫よ
呼び覚ましておくれ
1945年を
堪えてきた人々のことを
誰彼と欠けるたび
記憶はさらに遠くなって
血の滲みが消えてゆく
歴史の一行になって
本の間から薫る戦火
彼岸に硝煙の華が咲く
燃え移るのはいつだろう
今はまだ美しき月よ
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戦後という
戦前なのだろう
平成の終わりも近い
五輪は何の祭典になるのだろう
平和という平和がない、今。